日本では脳卒中の病気で苦しんでいる方も多いのですが…こんな壮絶な人生を送られている方がいらっしゃることを知ると健康のありがたさを感じずにはいられません。
脳梗塞はある日突然、健康な人が介護される人になる
昨日まで元気だった人が突然介護される人になるなんて信じ難いことですが、それはある日突然やってきます。昨日までベラベラとしゃべりまくり、普通に仕事をし、台所で料理をし、買い物に出かけていた元気な人が血管や心臓の病気で倒れてしまい要介護者になってしまいます。脳の病なので見た目の変化はなく、尋ねなければ体のどこが悪いのかもわかりにくい病気です。
もう一度書きますが、1人で普通に生活出来ていた人が突然要介護者になります。
著者はこの病気と格闘されたご本人です。類似書籍は幾つかありますが、文章の体裁も若者向けではなく全世代的に理解しやすいのはこの本だと感じます。本当にオススメの1冊です。
生きたい人、生かしたい人は時間を大切に
ざっくりとした話ですが、脳卒中になってしまうと脳に酸素が届かなくなってしまい、1分間に約200万個というスピードで(神経)細胞が壊れるそうです。一般的に人間は60兆の細胞で出来ています。仮に救急車で病院に運ばれても移動に30分要するだけでどれだけの細胞が死滅することか。凄まじいスピードで細胞が死滅するので1分1秒が大切なわけですが、昨日まで元気だった人がバタっと倒れて「あっ、脳卒中だ!」なんて気づける人は「医者」か「意識して生活している人」だけで、一般の人は慌てるだけで気付いたら人生が終わりです。「うちの父ちゃんあっさり死んでもーた」なんてことになっちゃいます。
病状が発症し、入院し、ある程度まとまったリハビリ期間が終わるまで1分1秒が大事だと思った方がよい病気ですね。
脳が壊れると体のどこかが機能不全になる
この本の凄いところは当事者がその感覚を文字にしたという点に尽きます。その視点が介助者に役立つことも多いと思います。症状は十人十色ですが大いに参考になることが書かれています。
脳卒中は、その後の生活も大変になりますが、何をどのように対処したらよいかの情報を探しても当事者コメントが皆無なのでツボを外した準備になることが殆どです。的を得ない言動を避け効率よく対応する助けが得られる内容です。この本は患者の視点で書かれており「よくこんな客観的に自分が表現できるな」という内容の連続です。おそらくこの本に助けられた人は多いと思います。
この書籍の表紙の絵ですが、この病気を体験すると患者はこういう絵がドンピシャな感覚になるのですが、これを患者の立場で表現することすら難しい病気です。表紙の絵にも著者のメッセージが込められていると思います。いやはや、この本の著者には頭が下がりますね。
出版社側に一言物申す編集構成力の無さ
ちょっと気になった文節を拾い上げで箇条書きにしたら、軽く40項目を超えました。その作業をしながら感じたことですが、参考になる文章が頻繁に本の折り目に当たります。本当に。見事なる読み難くさ。この本こそ読みやすさを意識した製本が必要だと思いますが、残念。もう少し読みやすさを意識するだけで売上が2割ぐらいアップするんじゃないかと思います。
しかし内容はとても素晴らしい感動の一冊でした。脳卒中患者の気持ちを知りたいなら絶対に「壊れた脳 生存する知」を読むべし!です。
コメント