SONYのハンディカム NEX-VG900 の使い心地

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今日はビデオカメラのことを書いてみようと思います。

カメラ周りのレビュー的なことを初めて書きますが….ソニーのレンズ交換式のビデオカメラNEX-VG900。この機種はあまりにも変態的仕様のせいか発表当初こそソニーショップで触りまくっている動画も目につきましたが買って使っているというレビューは極めて少ない機種だと思います。実は2台使って撮りまくっていた時期がありました。

今でこそ4Kも一般的になり、オフィシャルサイトでも「レンズ交換式」というサブカテゴリーでパッと見ても分かりやすくなっていますが発売当時は一般的なハンディカムと横並びの表示だった点からして変態的スタートでした。

最初は適合するレンズが殆ど無いのにボディだけ現れたような機種でしたか。たしかに独特のデザインです。1台はかなり前に手放し、残る1台も今年譲り、無くなってしまうと書くこともなくなるので記念メモです。

というか、すでに「ソニーストアでの販売は終了」になったんですね。ちょっと驚きました。

時の流れは早いですね。

発売から少し経った頃に14万前後で入手したと思いますが、今でも現役で使える機種に違いありません。今となっては何ら珍しくないフルハイビジョンですが、デジタル移行期の当時はテレビ局でもジャギーが残る映像を平気で番組に使っていた局があった時代です。

何度か自分で作ったVG900データを見て「あ、画質勝ったかも」と感じました。ビデオカメラを比較するにはなんともややこしいポジションのおもしろいビデオカメラです。

この機種のレビューが少ない理由ですが、たぶん素人が触るには度を越したスペックで、おまけにレンズ交換式となるとカメラと一緒でレンズ沼になるので「操作性が面倒臭い」故にレビューも書くに書けないのではないかと思います。それはプロが触ってもビデオカメラとしては一癖あるということで、しつこいようですが変態的モデルです。でも海外ではわりと良い評判を聞く機種です。

最近の映像系のお仕事でソニーの民生機から選ぶとFDR-AX1一択というのが王道だと思いますがオジサンは仕事でも遊び感覚でビデオカメラを触って楽しみたかったということでございます。正直言って真面目に考えるとこの機種は選択肢から外れます。 

Sony NEX-VG900 なんといっても35mmフルサイズのCMOSセンサーを搭載のオバケ仕様!

 

優れていると感じる点

  1. 35mmフルサイズセンサーですから画質のクッキリ感は秀逸だと思います。メーカー毎の「赤っぽい」とか「青っぽい」みたいな癖には触れません。レンズとの相性もありますが画質のクッキリ感が大好きでした。

  2. オジサンは元々レンズについては詳しくなかったのですがコイツのお陰で少し知識が増しました。α99のメカシャッター搭載モデルなので写真も綺麗に撮れるのは当然。

  3. 動きの少ないインタビュー動画などは特に優秀に感じました。いわゆる固定撮影ですね。しかし動画というのは動きのあるものも撮りたいわけで、そうなるとレンズとの関係が大事になってきます。DSLRな使い方が出来る面白いビデオカメラです。

こちらの方(プロですけど)のサンプル動画などはその特徴を表現されている手の込んだ作り込みで。画面下に色んなレンズを使ってると書いてくれている通り、面白い画が撮れます。

ということで常に「ボディ+レンズ」という組合わせでビデオ撮影を楽しむ面白さがあります。おそらく動画にはまってくるとこういう類のカメラや撮り方が気になりますよね。わかります、その気持ち。

VG900はある意味α99やα7のビデオ版です。カメラは連続録画時間が30分を越すとビデオカメラ扱いになって貿易時の関税率が上がるので「動画最長時間は29分」となるわけですが、VG900はビデオカメラですからバッテリー時間を気にすることなく1時間でも2時間でも回しっぱなしでガンガン撮れるという意味でもこれを買ったのでした。

ちょっとした撮影なら今やコンデジカメラの動画機能やスマホで十分ですが、腰を据えて時間を気にしたくないというときは、やはりビデオカメラ一択ということになります。

 

悪いというよりは…面倒な点

  1. 当然ながら好みのレンズを持ち歩く必要があります。つまり「カメラより大きなボディのビデオカメラと複数のレンズ持ち歩き」なんてものを欲しがるのは仕事で使うかよっぽどのマニアでしょうね。荷物が増えまくります。これが2台とか狂気の沙汰。

  2. ボディとレンズの相性というのもあります。VG900はFEマウントですがアダプターを付ければAマウントも使える利点、旧Eマウント(APS-C)だと直付けできるけどボディセンサーがフルなのにレンズがAPS-C的なこと、もちろん古いミノルタレンズなどのマニュアル操作など、いちいちレンズとカメラの相性を把握して使わないといけないのが手間です。

表裏一体ですね。使い始めた頃はレンズ毎に仕上がる画の違いを覚えきれなかったのでレンズ一覧のメモを財布に入れて撮影してました。使い分けられるようになるとどこまでも面白い画が撮れます。これぐらいですかね。不満に感じる点は少なかったです。

 

おすすめしたいレンズや付属品

  • やはりレンズは定番の「Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM(SAL2470Z)」が最高の相性だと思います。当時はこのビデオカメラのためにあるようなレンズ。迷ったらとりあえずこのレンズだけ持って出動していました。たぶん殆どの人がこのレンズを一緒に買って「重いし、交換面倒だし、そんなに撮らないし、売却」という道を辿ったのではないかと思います。しかしとても良いレンズですよね。ボディは手放しましたがカメラ用に残しています。

Sony Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM(SAL2470Z)

  • SAMYANのソニーEマウント用レンズとの相性も良かったです。韓国製なので好き嫌いがあるかもしれませんが….そもそもF1.4はどのカメラに載せても概ね綺麗なわけですが「35mm F1.4 AS UMC」とか「50mm F1.4 AS UMC」の仕上がりは最高に好きでした。こんな感じの動画が撮れるレンズですから面白いですよね。被写界深度を深くするのも超簡単。レンズを変えれば多様な表現ができることは先の動画からも見て取れると思います。

SAMYANG 35mm F1.4 AS UMC for Sony

SAMYANG 35mm F1.4 AS UMC for Sony α

  • ボディのみでも音声記録はクリアです。ドルビー2chと5.1chが載っているので当たり前ですが….。で、オプションとして「XLR-K1M」を付ければ外付けガンマイク用となりますが、これも合格点。素晴らしい性能だと思いますよ。後継機種も出てるみたいですね。マイクアッテネータ機能も文句なし。というか…もはやハンディカムじゃないですよね。この機能がついてるビデオカメラは殆どプロ用ですから…とにかく「組み合せで楽しんでね」ということだと思います。素人から(セミ)プロまでカバーする全くもって変態なビデオカメラです。

Sony XLR-K1M アダプターキット

 

絶対に使ってはいけないレンズ

レンズ交換式ビデオカメラの醍醐味を楽しまないともったいないので、古いMINOLTAレンズ(今でいうGレンズ系)やトイカメラ的レンズまで載せて楽しみました。マニュアル操作でもMINOLTAレンズで撮った写真の美しさに感動したものです。

なかでも相性が悪かった(というか最悪だった)のがEマウント(APS-C用)の「E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS (SELP18200)」レンズ。約1年使ってあまりにもヒドかったので手放しました。

定価14万超えレンズで仕事とはいえ恐ろしく高額レンズなのに相性が最悪で残念でした。

OSS(Optical Steady System)というのは手ぶれ補正が効くレンズという意味で、更に静音モーターが付いているズームレンズ。望遠で300mm相当までカバーする魅力的なレンズです。モーター音もわりと静かで使いやすいと思います。ただ録画中操作は無理ですよね。撮影環境が良いほどブレや音が気になります。

で、デメリット的なことに書かなかったのですがVG900はズームに弱いんですね。

なんで書かなかったかというと仕事でズームは多用しないから。

E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS (SELP18200)

ただ、たまぁ〜に、稀〜にズームが使いたい時もあるわけです。VG900のズーム機能はデジタル2倍。無いに等しいレベル。メーカーHPには「電動ズームレンズを使用すればレンズが動作する光学ズームとして機能し、電動ズーム未対応レンズでも電子ズーム(最大2倍、32段階可変)を行えます。」と書いてあります。

てなことで殆ど役に立たないズーム機能をカバーできればと思って「E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS 」を投入したのですが、このピント合わせに苦労しました。α99やα7で試すとそれなりに有効でしたがVG900の動画撮影だといまひとつ。

そのことを誰か書いてないか探してみたら、やっぱりありました。私だけでなく、他の方も感じているであろう性格の不一致レンズです。VG900との組合せで使ってはダメです。

そもそもこのレンズはひとつ手前のNEX-VG30用レンズ。Eマウント(APS-C用)。YouTubeで見る限り今発売中のEFレンズであれば大丈夫そうですね。それにしてもどのレンズも….お高い…。

ただ、本当に稀にズームで撮っておきたいシーンと出くわすので昔の「TAMRON AF TELE-MACRO 70-210mm」にアダプターの「LA-EA2」をかまして使っていました。このタムロンのレンズをどこで買ったかも忘れましたが、その手の中古レンズショップで1,000円ぐらいです。

ヤフオクやメルカリだと1円?かな。こっちの方がよほど使いやすかったです。ミノルタの「AF ZOOM 28-135mm F4-4.5」もよく使いました。

TAMRON AF TELE-MACRO 70-210mm F1.4-5.6 Φ52

TAMRON AF TELE-MACRO 70-210mm F1.4-5.6 Φ52

こういう変態な使い方ができるのもVG900の面白さです。

出来あがった映像を見てタムロンの古いレンズで撮ったなんてだれも想像できないですよね。

きっと。発売されてから15年は経つレンズだと思います。

 

余談 : ズームについて

色んなビデオカメラを触ってきましたけどズーム機能を使う時に「あ、やっぱり便利」と感じるのは20倍ぐらいでした。それ以上ズームが効くカメラも山ほどありますが手ブレすればフレームから被写体が消えるほどのズームは便利でも使用頻度が減ります。

10-15倍というのもよく使いましたがこれだと「あと少し寄りたい!」的な時に残念な経験も数知れず。20倍というのは人間の視力や視野に丁度心地よいのではないかと勝手に思っています。

たぶん20倍ズームだと250-300メートルぐらい先のものが自分の目視するイメージに近い状態で撮れると思います。自分の目でもそれぐらい先はぼんやり見えてる。だけどくっきりは見えない。

500m先だと自分の視力でもぼんやりとしか見えない。1km先とかはアフリカの人みたいなレベル。要は自分の目で見て認識できる距離と最も相性が良いのが20倍ぐらいじゃないかと思います。

それを超えるようなものは肉眼でも見えないので機能としては凄いけど要らないって感じです。

私の撮影は独学なのであくまでも感覚的なことです。もちろん自然観察みたいな固定撮影で60倍ズームとかを使う楽しさは別次元のお話し。そんなこんなでVG900のデジタルズーム2倍というのはズームを多用される方にとっては論外なビデオカメラです。

で、このカメラの画質に物申す方もいらっしゃると思いますが、それは己の目が肥えたからだと思います。オジサンが今VG900の画質を見ても驚きません。4Kに触れることも増えましたから驚くはずもありません。ただ5-6年前は驚いたのでした。

たった5-6年前の…つい昨日のことなんですが…。

当時の画質でも驚いていない方は最高のレンズ&モニターで生データを見てない確率が高いと思います。たぶん発売当時(2012年頃?)見たら「ん?これ2K?」ってぐらいの埋没感を表現するだけの実力を持っているビデオカメラで、そういうクッキリ感はAX1では出せないレンズ交換式ならではの面白さがあるビデオカメラだと思います。

おそらくこれで撮っていても編集では画質を落として使う方が多いと思います。最高スペックで撮った元データはかなり綺麗なはず。今となってはAVCHDという規格すら古く感じますが、それは仕方ないですよね。時代です。

このVG900は35mmフルサイズセンサー搭載なので4K(ビデオ)カメラと比較されますがそれはナンセンス。4Kが綺麗なのは当たり前。あくまでもFHDカテゴリーで比較してあげないと可哀想。

そういう意味でVG900はズバ抜けた変態スペックです。

日本で一番有名であろうボイパで有名なYouTuberの方も使っていらっしゃるようですね。というか、この機種はネット動画で使うにはもったいないスペックですが、今のタイミングに活躍する機種だと思います。きっと。

一頃YouTuberがこぞって4Kビデオカメラのレビュー動画をアップしていたのに、いつの間にか最近の動画は全てHD。「そこまで必要ない」「編集大変」「データ管理だけで死ぬ」と感じてますよね。わかります、その気持ち。

そんな時にもVG900は高水準の画質を維持して微調整に応えてくれます。が、オジサン的には「そうは言っても中身のあるコンテンツだと4K…スマホの時代かな」とか思うのでした。

人間というのはどこまでも欲深い動物で目が肥えると後戻りできません。今ブラウン管時代の画質で生き残っている動画はコンテンツ力がオバケだからですね。それ以外はゴミと化します。

ということでボディとはお別れしましたがそれなりに楽しませてもらったビデオカメラでした。

今では安く買えるとは言え仕様は高スペックですしオジサン同様ズーム率の低い用途には大活躍間違いなしです。これで昆虫を撮ったこともありますが細部まで観察できて楽しかったですよ。手放した後で言うのもなんですが、残して遊んでもよかったかなー、なんて思いますね。

バイバイVG900。約5年間、たっぷり楽しませてもらいました。

ちなみにこれが載っかって活躍した三脚がVANGUARD製ですこのカメラにレンズ、アダプターキット&ガンマイク、ミニモニターを載せるとヘビー級ハンディカムになります。

レンズ選びで困った時の答えはやっぱり便利レンズだと認識 – en1

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