包丁ひとつにも理念あり

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今日は包丁(ペティナイフ)のメモです。

というか「以前にも包丁のメモを残したような…」と思って検索したら出てきました。

包丁を新調したの巻 : はじめての青紙スーパー鋼
包丁といえば燕三条、関、堺、三木ぐらいが最有力候補。長崎、高知、福井も有名なことはチラリと知っているのですが、実は大穴で種子島の包丁...

その時のメモには詳しいことを書き残しておりませんが、あの包丁は三木のとある有名なお方の包丁です。エントリー日付を見たら「2019年12月」になっておりました。

(どーも私は年の瀬が近づくと包丁が欲しくなるようで…)

さてと…

私が実家を離れた時に親が準備してくれたものはスーツと印鑑でした。印鑑というのはいかにも昭和ですが事実です。そして本日のメモ「包丁」ですが、切れ味の悪い、家に余っていたものを持って家を飛び出したんだと思います。

(たぶん)

一人暮らしが始まって数ヶ月後に安いものをどこかで買って使っていたと思います。

それも切れ味が徐々に悪くなる安物だったと思います。

(あれから30年ですが…)

その後35歳の頃に「ダマスカス鋼」というものを知りましてペティナイフを2本新調しました。それは今でも現役として使えますが倉庫に放り込んだままです。

(箱を開封すればすぐに使える包丁)

でね、先日釣り道具を整理しながら「そーいえばナイフを買いたいと思ってたなぁ」なんて思い出しました。

今は介護天国で1秒たりとも遊べない状況ですが、かつては時折フラっと出かけてはアジとかサバを釣りまして、その場で適当に捌いて食べるなんて遊びをしていたのでナイフが欲しかったのですが、ナイフの主たる用途はアウトドアですよね。バトニングとか、フェザースティックとか。

(そーゆーことをしたいわけではない)

ということで、「そーだよな、自分には包丁が向いてるんだな」という結論になり、しばし包丁を探していました。出刃ではなく両刃。いわゆる家で使うような三徳包丁ね。相変わらずペティ(パーリング)タイプで。

寂れた情報をアップデートしていると福井県の包丁にたどり着きました。

(べつにどこの商品でも良いんだけど…)

日本は刃物でも有名な国であり「ぜひ日本製品を入手したい」と思っていました。

(倉庫のダマスカス鋼も日本製だけど…)

でね、福井の武生というところの包丁を買ったわけですが、振り返ってみると武生は人生で何度かご縁があった場所でして、それは越前蟹(松葉蟹)であったり、越前和紙であったり、越前蕎麦であったり。多岐に渡ります。その後無農薬米とか…

(思い返せば何度となく出向いた場所です)

本題に戻りますが、買ったのはタケフナイフビレッジというサイト。

別のECサイトでも買えるやに見た気もしますが、とにかくこの場所で130センチのペティナイフを買いました。商品名には佐治打刃物と書かれておりました。

(たぶん凄い人だと思うけど詳しいことは知りません)

Just a moment...

その包丁は届いたのでいずれ使う日が来るのを楽しみにしておりますが、買った2-3日後にメルマガが届き、その文章を見ると「刃と柄が一体になった、タケフナイフビレッジのオリジナル商品です。デザインは世界的デザイナーの川崎和男氏によるもの。30年前にデザインされたとは思えないほど斬新な形で、今もなお売れ筋の商品です。」と書かれていました。

じつは…

私は川崎和男さんのブログ愛読者でして、2010年ごろから考え方の参考にしています。

その言葉はカミソリのような切れ味。家に居ながらにしてそのようなことを学べることを有り難く思います。そのデザイン哲学に感銘を受けまして今でも金言などは更新の都度目を通しております。氏は車椅子に乗るデザイナーとしても有名な方です。

最近もグッとくる言葉を見ました。言葉自体は倉俣史朗の言葉かもしれませんが…

私たちは、経験もなく、伝統もなく、 壊れていく文化をなんとしても連結していこうという 時代に生きている。(12月15日川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design)
Kazuo KAWASAKI's official Blog | 企望を「までい」実現へ
企望を「までい」具現へ

話を戻しますが、とにかく、そのことが妙に気になりましてね、30年前にデザインされたモノってなんだよ?と思って情報を漁ると下のページにたどり着きました。

タケフナイフビレッジについて | Takefu Knife Village
Takefu Knife Villageが出来るまでの職人たちの物語。

まずコピーが「私たちは、美しい切れ味を鍛えています」というもの。かつてANAのcmコピーに「鍛えた翼は強い」というのがありましたけど、この鍛えるという言葉は文字通り「刀を鍛える」というのが語源だと思います。

こういったコピーひとつとっても、ナイフビレッジを仕掛け、まとめた人がいるというのは容易に想像がつきますよね。

そして「タケフナイフビレッジのポリシー」という7つのお題目に度肝を抜かれます。

ポリシーというのは方針です。集う会社の理念をコンパクトに集約したものと思われ、この背景にある膨大な資料がきになりました。つまり理念設計図ね!

(絶対にアル!)

こういうことを立ち上げる時は、それまでに基礎となる土台がないことが多く、これを機にコンセプトから立ち上げ、基礎工事を施工し、その上で新しい概念をしっかりと構築し、おそらくは理念が整理されたものと思われますが、驚くべきはその時期。

「時は1970年代」という文章から始まり「1973年に武生刃物工業研究会を結成。毎晩、仕事を終えた後に集まっては、越前打刃物の将来について語り合い、打開策を話し合いました。」とありました。

1970年は大阪万博があった年ですね。そして福井の原発から供給された電力で万博が運営されたという、ある意味で勢いのあった時代です。しかし越前打刃物は問題を抱えていた。

(1973年の私は2歳)

いま日本社会は超高齢化&超無子化が話題ですが、それはこの「時は1970年代」から始まっており、その時点で武生の刃物業界は壁にぶつかっていたようですが、その当時に結成した勉強会が半世紀を経た今でも生きているというか、生き残っていることに感銘を受けました。

(いや本当にそう思ったのですょ。真面目に感動したのです)

武生でこの状態ですと日本全国が似たり寄ったりであったと予想でき、デザインをもってしても解決せず消えたモノも多かろうと思います。

座して死を待つのではなく、1人3,000万円という大金を拠出し、志を1つに血判した結果と妄想しますとね、「その商品を使ってみたい」と思うのが人の理。

すでに欲しかった包丁を1つ買ったのにも関わらず、追加で「クレウス12P」を買ってしまいました。それが本日のタイトル写真です。

(足るを知らない衝動には反省)

ちょっと話がそれますが、この理念ですけどね、最近本当に大事だと感じることがありました。

会社の代替わりで道を譲る時代に入ってますでしょ?すると、代わったその瞬間から新しい経営者が道に迷うという現象が起きます。おまけに今はグローバル化で海外進出なんて話題になりますと、とたんに右往左往です。

つい先日も「日本は衰退するから海外へ出ましょう」というお誘いを聞きましたが、それは日本人による日本が終わるということが経営者として理解できてないわけです。そんなことはどーでもいいという人とお付き合いすると思考もそうなる。

そして、そういう「日本は衰退するから海外へ出ましょう」といった会話に恥ずかしさや疑問を持たない経営者は総じて理念がないことが多い。本当に理念なき経営者。理念は社是のようなレベルではありませんからね。もっと崇高で威厳があり気高いものです。

理念 = 道を踏み外さないために念い続ける言葉集
タイトルを表層的に考えますと「理念で飯は食えない」という経営者の声が聞こえてきそうですが、本当にそうかな?と考えているのでした。

かつて「理念、大事なんだけど、どれほどのものか?」と思いながら勉強していた時期がありましたが、ここにきて私自身が「道を踏み外さないために念(おも)い続ける言葉集」と訳したメモを眺めながら、道を外さないと生き延びられない社会のカオスぶりをひしひしと感じた次第です。

ということで…

もうね、人生でこれ以上刃物を買うことは絶対にないですし、私が死んだ後で誰かが私の包丁を整理しながら「この人いいもの使ってたな」と言わしめる逸品。それでも下のような動画を見ますとね、「そーか、和包丁な。包丁の完成された姿なんだ」みたいな物欲にさいなまれます。

(料理人でもないのにね^^:)

ゆる言語ラジオ的マニアックなトークが展開されて、25分動画があっという間に終わります。

でね、買った「クレウス12P」のサイズ違いがいくつかあるのですが、ネット動画を見ているとちょいちょいこの包丁を使っている人がいることに気づきました。別にそれでアフィリエイトしてるわけではなく、普段使いの包丁として人気があることを感じました。

私にとって今回の買物は「武士は食わねど高楊枝」な買い物ですが、でもね、日本人が世界最高の切れ味を目指し、それが実現しているにもかかわらず日本人がそれを買えないとか買わないなんて寂しさの極みでしょ?でも現実は買わないし買えないのですよ。

質より量を選んだ結果が今です。

(だけどLINEスタンプには散財とかね)

どうせ買うなら時間が経っても、中古になっても譲り合って喜ばれるものにしたいという気持ちもあり、よい買物ができたと喜んでおります。

しばし包丁の柄に近い部分に目を凝らしてステンレスに挟まれた鋼の積層鋼を眺めていました。確かにそのような仕様に肉眼でも確認できますね。明日から使いたいと思います。

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