今日はミュージカル映画「イン・ザ・ハイツ」のメモ。
最後に映画館に足を運んだのは2018年で、その前を辿ると2013、2012、2007。映画が娯楽の地位を失ってからかなりの年月が経ちます。これだけしか足を運んでないのですが一番記憶に残っているのは2007年に観た映画。しかしそのメモはここに残してない。
(記録なんてそんなもんですな)
それはさておき介護に多忙を極め、9月はプライベートで(他人は全く関係ない、ただ1人)ちょっとショックな出来事もありストレス発散に恵まれず、あまりの忙しさに自分の食事は適当すぎてジャンクフード三昧な生活に辟易していたのですが、突如この映画の存在を思い出して躊躇なくダウンロード視聴しました。
昔だと精神崩壊して終了ですがテクノロジーのお陰で映画がスマホにポンと届き自宅シネマを楽しめるというのはありがたいことですね。両親の夕食をノリノリで調理しておりました。
早速映画のことですが、かなりテンション高めの曲が続くので精神状態がアゲアゲじゃないと観る気力が湧かない内容は予め知っていたのですが懐かしさのあまりレンタルではなく購入してまで観るという暴挙。
(人生でそんなに観ないだろ!)
なにが懐かしいかというと冒頭から流れるサルサ。

そんなこんなで映画の中身に軽く触れますと元はブロードウェイミュージカルの映画化。ザックリ言えば中南米移民ヒスパニックカリビアン3世、4世のアメリカ社会との関わりが一つのテーマ。それは現代に続く人種差別に通じるものですが、その本質の一端を知れという内容。
今年は初期の日本人移民本を読みまくり、ジャパニーズアメリカンがヒスパニックカリビアンに置き換わっただけで、どんな移民も苦労が耐えないわけですが、冒頭で触れたとおりかなりテンション高めの曲が続くので悲壮感がない映画とでも申しましょうか。
(日本人移民史を映画化してこうはならない。どっちかというと「おしん」系だよね)
日本人移民がそうであったように1世は言葉に不自由し2世はそれをバネにハッスルし3世は・・・みたいな流れは当時の世界移民スタンダードということも表現されています。
(現実はもっとドロドロしとるよね)

それはさておき主演女優のメリッサ・バレラさんが可愛い。
ぶっちゃけダンスはイマイチなんですが若き日のガブリエル・アンウォーを感じさせる表情にやられちゃいます。いや、その、実際は眉毛からしてDNAは全くの別人というぐらい違いますが「弾ける若さ」を羨ましく感じるのですからジジイになった証拠。
(この語彙力、表現が昭和)
笑った時に目を細めた雰囲気、口角が上がったときの涙袋の強調、はにかみつつ憂いのある表情などがなんとも言えませんな。
(キャストの化粧前を知ると別人すぎて、まさしく「化け粧う」化粧のすごさ)
そんなことはどーでもよく映画は冒頭から「3-2 クラーベ」で始まり「嗚呼、懐かしいな」と。
なんでサルサのリズムが懐かしいかというと…
この「3-2 クラーベ」は信号で言えば黄色から赤に変わる感じのリズム。対極の「2-3 クラーベ」は「青は進め」みたいな感じですが、このリズムにハマったのは20歳の時。
(世の中には黄金比率みたいな “えも言われぬリズム” が存在してるんですな)
(いま復活してるけど)当時「オルケスタ・デ・ラ・ルス」という日本発のサルサバンドが世界を席巻し「国連平和賞を受賞した」なんてニュースが流れたわけですが、ノリノリなラテンバンドの中身がコテコテの日本人ということに度肝を抜かれすっかりハマってしまいました。
見た目は激しいサルサダンスですが、中身はとても丁寧でなめらか。その丁寧さはスロー再生すると一目瞭然。全身が(例えがアレですが)タコのような軟体動物的全身運動で、且つ撫で回すような手足の動きがサイコー!
当時はサルサなんてカテゴリーすら知らない人生。メレンゲなんてリズムを知った時は動物的感覚で「リズム感は勝てんな。ジャズより深っ」とか思ったのを覚えてます。時代はJ-ポップ全盛。そこへ異種格闘技的編成バンドのリズム感や音感で意識が完全に中南米に飛んじゃって「なんだこの人たち」という刺激を受けてから…
(えーっと、かれこれ30年)
いやホントに当時はB’zとか大流行りしてた時で、そういった日本勢に比べると全く霞んだ存在にハマってた私も相当な変態です。
てなことで久しぶりに血湧き、肉踊るオリジナルなサルサ映画を堪能しました。
映画を見る前から気になっていた曲とシーンがこちら。中毒性がある。
「Carnaval Del Barrio → Fly this Flag → Carnaval Del Barrio」の流れ。このフェイク感が心地よい。Fly this Flagのいわゆる四つ打ち(four on the floor)変化は自ずと高揚感が増してくる。下の動画の0:37辺りですな。
このシーンは1時間45分頃から前期高齢者風おばさんのフラメンコの振り付けから入るのですが、言わずもがなラテンリズムDNAは全世代に相性がよろしいようで気がつけばどハマりなシーン。
ゆっくりとした手拍子からアップテンポなサルサまで淀みなく引きずり込む音楽テクニック。リン=マニュエル・ミランダは天才的ですな。
このシーンは老若男女キャスト全員が踊りまくるわけですが、それこそが中南米の音楽ルーツを感じさせるシーン。残るエンディングまで一気に観終える感じ。
(まぁぶっちゃけ見終えても日常的テンションは低いままですが)
地球経済は北半球メインですがそこで活動する人々は死に体な印象。他方で南半球は経済では出遅れているものの常に人間がメインの印象。「情熱的」という言葉がよく似合う。
なんと申しましょうか…
理屈ではないのですよ。こういう曲を聴いて「あぁ、心地よい。(踊れないけど)踊りたい。体が自然と動く」というDNAに逆らえない感覚が非常に心地よいおすすめの映画です。この中南米由来の熱量のおかげで北半球の人間が正気に戻れるといったら過言ですが、それぐらいオススメ!
(ちょっとテンション高すぎて疲れるけどね)
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