ご存知「水曜どうでしょう」の「旅のカリスマ」軍団が調子に乗ってキャラグッズで荒稼ぎしまくっているバンプレストの一番くじで発売されてしまった地球の歩き方を読んでみました。旅のカリソメが真面目に書いてみたいと思います。1回のコストが650円という高額にも関わらず、相変わらず中年藩士の購買力で人気です。青屋敷ウハウハですね。
たぶん全国の藩士が入手してもビニール袋から出さずに眺めてお仕舞いしているかと思いますが、元旅好きオジサンは躊躇なく開封して熟読しました。その中身は素晴らしいの一言です。
そもそも「地球の歩き方」って…
解説不要ですが海外旅行でお世話になるガイドブックのひとつです。昔はバッグパッカー、個人旅行、ひとり旅の要素がページの随所に散りばめられていたので昭和時代は「旅のバイブル」でしたが「地球の迷い方」とか「地球の騙し方」と揶揄される本でもありまして、信憑性の低い口コミ情報を信頼して突撃して自害したなんて話しはてんこ盛りなガイドブックです。
デジタル全盛の今もやってることは一緒ですね。どんな時代も自分の眼力で正しい情報を読み解く力は必要みたいです。
ヨーロッパ21カ国 完全制覇 (←制覇してないけど仰々しいタイトル
昭和風に言うと「テープが擦り切れるほど見た」番組です。もう21年前ですか。表紙に書かれている「1997.8.23」の文字が…いやぁ…参りますね。歳をとるわけです。若い2人がパリの凱旋門を背に「一気に実感」なんて喋る姿がお懐かしゅうございます。地球の歩き方サイトを見ても2018年の正式な刊行物として掲載されており、その本気度が伺えます。
この番組が流れた当時、破天荒な旅をする人、出来ることが常識になりつつある時代でした。たぶん「個人旅行」というキーワードが定着し始めた終盤の頃だと思います。
バブル崩壊と言えどノー天気に日本円の強さを味わいつつ海外旅行を楽しめる最高の時期です。ちなみに当時の為替は115円〜117円推移ですから2018年の今も海外旅行を楽しむには良い時期です。そういう時代にテレビの番組製作としてディレクターが車のハンドルを握り、カメラ片手に低コスト番組を作るアイデアというのは画期的だったことでしょうね。
改めて映像を見る「ルクセンブルク著」
藤村Dは手ブラで海外に乗り込むことが平気なタイプのようで、その昔オーストラリア縦断でそんなシーンもありましたがさすがにヨーロッパは身構えてますよね。
ガイドブックを数種類持ち込んで参戦のようです。フロントガラスには地球の歩き方が写り込んでおりますがミスターの手元には昭文社のガイドブック。既に廃盤だと思いますが当時はこの本も人気でした。ズバリ「個人旅行」というサブタイトルが書かれております。
今から30年ぐらい前の地球の歩き方は口コミネタてんこ盛り時代があったのですが、昭文社シリーズは信ぴょう性の高い情報が多かった記憶があります。それまでの旅行会社カウンター周りは暫く「地球の歩き方」全盛時代が続きましたがこのガイドブック登場と同時に旅の楽しみ方が大きく変わった記憶があります。どうでしょう軍団も察知してのことでしょう。
それにしてもですね、どちらのガイドブックも有名ですが今回の企画は地球の歩き方が先手を打ったわけです。編集者に藩士がいらっしゃるそうです。まぁ…やったもん勝ちですよね。
どうでしょう軍団が「旅のカリスマ」という表現は事実
ちょいと話がそれますが…
旅が仕事の方だとピンと来る人も多いと思いますが、名物企画のひとつ「サイコロの旅 4」で立山黒部アルペンルートを抜けるコースがありました。このコースを選択肢の一つとして作るディレクター陣も素人じゃないですよね。更にそれを引く洋ちゃんも持ってます。さすが天才。
私も何度か行きましたが…かつて国内旅行で添乗員が必要な旅行を挙げよと言われればこの場所ぐらいです。それ以外は添乗員なしでok(離島や秘湯地域を除く)。そんなコースをしれーっとチョイスするのは感性だけでは無理だと思います。絶対に陰で支える黒子がいらっしゃると思います。
前置きはさておき上巻の感想は…
そのどうでしょう軍団が挑んだヨーロッパ21カ国ですが…
本を読んで改めて感じます。魅せるべくしてやってます。以下オジサン妄想ですが…
素人でも思いつくルートですが、たった8日間なのに各国のツボを押さえた番組展開。鈴井&大泉コンビの軽快なトークに泳がされて気付きませんが有り得ない旅程です。番組だと簡単そうに見えますが無茶苦茶!
無茶苦茶なのに旅の初っぱなからドイツのカレー、ユーロトンネル、ハートフィールド、コッツウォルズなんてキーワードがバンバン飛び出す展開。今のことを存じませんが、当時確かに「コッツウォルズ地方」という旅行商品が流行りました。日本だと白川郷みたいな感じかな…。
番組展開は行き当たりばったりに見えますがディレクター視点で考えると事前に大雑把な走行ルートは決めていたと思います。そこで押さえるべき観光地も事前にピックアップしてあったと思います。行く先々で観光地リストのどれかを押さえていれば「撮れ高十分で編集できる」と踏んでいたはず?とか思いながらルートを追っていました。それでも旅の前半からルートを間違えて、それをそのままオンエアーしちゃうというのが全部見せちゃうどうでしょうの面白さなんでしょうかね。
もし本当に行き当たりばったりだとしたら、九分九厘大泉さんのトークに救われている奇跡的番組ですね。まぁ初めてのアフリカなんて見ますとD陣のムゼー丸投げと洋ちゃん頼みが見て取れるので本当に無計画なのかもしれませんが…。
こうして本になるとテレビやDVDで観るのとは違う視点があります。
ドイツの街道観光ってめっちゃ沢山あります。が、旅行会社では7街道でコースを組むことが多く、その中でも見どころ満載の古城街道を選ぶ辺り、素人じゃないですよね。古城街道も走ると分かりますが走り抜けるにはもったいない魅力満載のコースです。これだけでもヘビー級コンテンツなのに、続けてロマンチック街道とアルペン街道の一部を放り込むという荒技。
昔からのファンとしては藤村Dの乱暴な言動が際立つので無計画な旅企画に感じますが、「旅のアウトラインはDの頭にガチッとインプットされているはず」と思いながら…ファンの皆様はそれぞれ思い出の名言と共に楽しめる一冊です。。
各ページの最下部に当時を偲ぶ両ディレクターのコメントが載っているのですが…色々と感慨深い。
鈴井さんは大真面目に21カ国制覇を考え…
大泉さんはバカを演じ…
藤村Dは全体の構成を踏まえつつ芸人を泳がせ…
嬉野カメラマンはひたすら撮り続け…
台本があるような無いような…
この4人の出会いは奇跡でしょうね。全員が非凡な才能の持ち主。
演出を計算してても感じさせないトークをする会長…
キャラが際立つ天才騙され芸人…
魅せ方と金儲けを計算できるヒゲ…
余すことなく撮る職人…
なんと申しましょうか…4人が共有する透明な台本があるんだと思います。よく大泉さんが「これ、今台本に乗ってるね」とか、テロップで「気づいた!」「待ってました!」なんて文字が踊るやつです。
騙され芸人の大泉さんが展開に気づいた時、視聴者も心地よい共感を得てますよね。
今同じことをやってもウケる深さがある企画
8日間でこれだけのことをしちゃうことがどれだけ大変かは行けばわかります。故に今同じことを別の素人がガイドブック片手に完全再現に挑戦して映像化してもそこそこウケると思います。それぐらい映像の深さが仕込まれている旅番組です。
確かファンの方がリヒテンシュタインに行ったブログをどこかで見た記憶がありますが、普通は選ばないロケーションですよね。それにしても、これだけのガイドブックを会社の経費で買って、旅費も経費。飲んで食って経験値を上げて…大泉さんが立派になられるわけです。
本当に楽しませてくれる伝説の番組ですね。
2Kや4Kや8Kじゃないのに…ついつい見ちゃうわけです。
キラーコンテンツは画面サイズや画質を選びません。コンテンツの中身が大事であるお手本のような番組です。ただね、DVDも4時間半。ずーっと観る時間は無いけど「久しぶりにちょっと浸ってみたいなぁ」なんて気分の時にこの本をペラペラしているだけでハッピーな気分になれる一冊です。
今時スマホでなんでも確認できちゃう時代ですが紙のガイドブックはお守りみたいな要素がありまして、海外で持ってないなと「不便だなぁ」と感じることがあります。得たい情報が多岐なのでいろんなページに折り目を付けてペラペラできる手軽さ。この本はそこまでの情報ではありませんが一冊忍ばせて出かければ楽しさは倍増すると思いますょ。
次回は下巻をメモしたいと思います。
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