「乾けない世代」の団塊Jr世代は余生をどう生きるべきか

ありがたい一冊
この記事は約8分で読めます。
スポンサーリンク

昔から「無我夢中」という言葉が好きなのですが、好きな割に結構粗末に扱ってきました。

理由はとても単純で、社会にでて荒波に乗る側になるか、荒波を起こす側になるかの違いです。

なんとなく振り返ると社会に出て10-15年は乗る側で、その後は起こす側。どちらの仕事を選ぶかで人生は大きく変化すると思います。そういう意味で最近の10年は「無我夢中」という言葉を取り戻しつつある日々です。

ちなみにどちらが正しいという判断は難しいと思います。

昨今の言い方だと前者は社畜となりますが私は自分にとってストレスが限りなく低い好きなことをモーレツな残業をしながら楽しんでいました。お陰で収入はジェットコースター人生ですが、なんとか破綻せずに今があります。

今風の言い方だと、ネットで情報を集めて自分の生活に役立てるのが乗る側で、集めた情報を自分で紡いで再生産したり、そこに新たな視点を混ぜて別情報として流通させインフルエンサーとして(アフィリエイト等で)稼ぐというのが起こす側といった感じでしょうか。

そこで読んだのが尾原和啓さんの「モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書」という本。あまりこっち系の本に触手が働くタイプではないのですが未来の自分を知る糧になるような気がして。というか、同世代が若い世代をショベルしている文を見るに、これはこれで世代交代の一歩なんだなぁ、とも。

「乾けない世代」というのはザックリ言えば生まれた時から満ち足りていている世代。何かを手に入れることにガツガツしない人たちですが、オジサンのような71世代はどうなんだろうか、と。

基本は間違いなく「乾けない世代」だけどそれだけでも無いような….

人数が多い割に何か(誰か)を引っ張り回すような動きをする同世代は少なく、社会の隙間を埋めるような動きをしている世代のような気がします。71世代(とその前後)は社会の奇妙な位置で、コーキング剤のように周囲を理解できる人が多い気がします。

どのページも時代を切り抜いてあって面白かったのですがp.68-88辺りが印象的でした。

「自分にとっては好きで楽にできることと、相手にはできないこととが噛み合うこと」という仕事の流れが大事というくだり。オジサンの周りにもそういう人が居ました。好きこそ物の上手なれですかね。任天堂の岩田さんの言葉は確かにシンプルですね。

任天堂の故・岩田聡元社長の「 労力の割に周りが認めてくれること” が、きっとあなたに向いていることそれが “自分の強み” を見つける分かりやすい方法だ」という名言があります。自分が楽にできてしまうことは、本人にとって当たり前すぎて価値を感じないために、なかなか気づけないものです。

簡単に言えば人生のパートナーを見つけるのと似たことで、生涯愛せることを見つけて愛を注ぎまくれということなんですが、若い時に見つけることが難しいですよね。”熱中”とか”没頭”できることを楽しめると良いですが若い時は勘違いということも多々です。

トレンドを気にすると目が泳いで視点が浮気します。最近は寿命も伸び自立した女性が増えたからか、子育てが終わればスパッと離婚し50歳以降は新たな人生をスタートする方も増えているみたいですね。他方で50歳頃から守りに入る人もチラホラ。

まぁ、とある経済学者のコメントの通り「人生100年時代になりつつある中で、仮に30歳ぐらいで結婚したとしても、その先70年近く1人の人しか愛さないなんて生活が飽きるでしょ?」という意見は今までにない発想で、生き方は人それぞれ。

これから先の生き方は「変化をチャンスと捉え、最先端を走る生き方」にシフトしていかなければならないと書いてあるわけですが、このバランス感覚が超絶難しいことなんです。そして、この考え方がいつまでも続くとは限らない。

しかし文章は”MUST”です。本当にそうかな

筆者はバリ島に住む方で日本より遥かに時間を遅く感じる場所に身を置いて、コストを下げながら世界相手に商売されてるわけですが、こういうコントロール感覚が必要になってくるわけです。

正直オジサンは「最先端を走る生き方」という部分に疑問を持つ派。

そこでタイトルの「乾けない世代」に入る団塊Jrは余生をどう動くべきかということを真剣に考えると、答えはある意味筆者とは真逆思考。これは本の内容を否定しているのではなく、人生や生活の要素に「末端を取り入れる生き方」が求められる気がするんですよね。

(結論はテクノロジーの恩恵をどこまで享受しながら生きるか)

簡単に言えばiPhoneはかっこいいし最先端。これが欲しいなら、最先端の働き方になる。海老蔵さんが発売当日に入手して触っているネット動画を見て「この方は変化をチャンスと捉え、最先端を走る生き方なんだな」と思うわけです。しかしながらお仕事の中身は重要無形文化財。最先端と末端を融合して統合する生活感覚。

軸足の場所と力加減のコントロールが大事だと感じはじめた理由はこれだけ世の中が便利になっているのに心が乾いている人が減らないし増えているように感じるからです。

(ツイッターで自殺願望者が結びつくことが同時進行の時代だなんて….)

仮面生活(人生)とでも申しましょうか….ツイートも、インスタも、FBも全て役者で女優な表現方法なんですね。テクノロジーでつながりまくっても心が満たされないと生き甲斐すら見失うことがあります。でも女性がいとも簡単にハマる理由は化粧と一緒ですよね。化け粧うことが日常なので抵抗ゼロです。だから仮面なんですが、所詮は仮面なので心が満たされないという不都合が残ります。それでもトレンドに乗りたくて使う人は減りませんが、化け粧って生き続けるには人生が長くなっています。

(息が続かないし、人間は必ず、100%老いる)

こういう仮面生活(人生)を突破するために「愛せるもの(こと)」を見つけられれば即リスクを取れますが、問題は愛せる人、愛せる仕事、愛せる場所との出逢いが難しいことですな。

しかも悩める本人にはとてつもなく時間が長く感じられます。悩む期間が伸びると信頼していた人が離れる現象も起こります。人は意外と薄情で見た目で判断します。すると孤独と戦うことが求められます。

(本当に強靭でへこたれない精神力がないと生活(というか、人生が)壊れます)

この本では「思い切ってニートになって愛せることを突き詰めろ」的なことを書いています。

その通りなんですが、実行すると大変なことをあっさり書いちゃって真に受ける20-30代が居たら大変だな、とも思いながら読んでいました。若い人は案外ドライに斜め読みできるのかな

p.225から「生きがい」について書かれていて妙に納得していました。生きがいは「好きなもの、得意なもの、必要とされるもの、対価に値するもの」の交差点で生まれるのですが、中でも難しいのが「対価を得るに値するもの」です。

だって仮面生活だと対価に値するものを見抜く眼力も妥協の産物になりがちだから。

老いも若きも自分にとって苦にならない心血を注いで愛せる仕事をせずして人生を終えるのはもったいないということでしょうね。

♦︎

ところで最近は仮想通貨界隈のこともメモしてますが、これを牽引しているのは圧倒的に「乾けない世代」だと思うんですね。オジサンのような中年だと外貨預金、投資信託、株式投資みたいなことを下手なりにカジっていますが、そういった情報配信に熱狂しているのは投資経験の浅い「乾けない世代」が殆どです。このことで面白い現象も感じます。

たとえば今までは自分でコッソリ勉強して資産を増やす行為をしていたのですが、ネット動画を見るとボリンジャーバンドがどーたら、フィボナッチ引いてどーたら、日足のチャートで指数がどーたらこーたら。こんな動画が山ほどある。

アナリストという肩書きで食ってきた人は情報料と交換に公開していたことを、ど素人が研究しまくって自分予想を展開してるわけです。しかもそこそこ的を突いている!そういうテクニカル的なことがたった数分の動画解説で理解させちゃえる時代。

これを牽引しているのが「乾けない世代」なんです。お陰で専門書もアナリストも不要で従来の100倍とか1000倍のスピードで投資テクニックを理解できるようになっています。

変な言い方ですが「乾けない世代」だってカラッカラに渇いて(乾いて)いる状態が欲しいはずなんですね。そういう何かに熱中し、没頭できるものを見つけたい。でも従来の概念やルール下では潰されてしまう。そこに「そうか、新しい概念やルールを作ればいいんだ!」ということを仮想通貨が気づかせてくれたんだと思います。

昭和の前期高齢者はバカにした目で見ていると思いますが、その人たちとて現金に目が眩んでバブらせた人たちで中身が変わっただけ。

さらに面白いことに現状ではどうしようもない、何ら価値のない、目にも見えないデジタルなことをいとも簡単に咀嚼できるという特徴があります。前にも少し触れましたがデジタルとリア充を分けて考えず初めからミックスして捉えられるんですね。理解が早いとか遅いではなく、はじめから脳がそういう構造。英語を話す両親の元で育つ子供は自ずと英語を喋ると似たことです。

大正以前は1次元、昭和世代は2次元的で、平成世代は3次元的で、次の世代は4次元的といった感じになるんですかね。

♦︎

この本が売れてるって…悩みを共有できる共通キーワード「乾けない世代」を文字化しただけなんですが、それだけ文字にならないと分からないことがあるんですね。

で、普通は電子書籍で買った方が後処理が楽なんですが紙媒体を買ってみました。これを80歳を超えた両親に渡したいと思います。私は年齢的には団塊Jrですが親は焼け跡世代に近い人。ほぼ両足を棺桶に突っ込む親が「乾いた世代」という今風の表現にどう反応するか興味があります。

というか尾原和啓さん通算13職ですか。なるほど。もうそういう時代なんですね。オジサンも改めて指折り数えたら間もなく両手が必要です。「変化をチャンスと捉え、最先端を走る生き方」をすると2-3年に1度脱皮しないと追いつけないですよね。しかし問題はこれから先ですね。

1970年生まれの世渡り感覚を理解できる楽しい本だと思います。

share

コメント