今朝のラジオで中村哲氏の言葉が印象的でした。
「電化製品は食えないし、札束はやがて薪にしかならない、農業さえあれば人間は生きていける」
もちろんこれはアフガニスタンでの体験に基づく言葉。
他方で日本は農業をなおざりにし続けても日本円の強さでなんとか維持できています。
もはやカテゴリーに関わらず成熟した社会では新商品を生み出すことが難しいですが、特に農業は経済効率が悪く天気や震災をコントロールできないので敬遠されがちで、その根底にあるのは皆んなの心のどこかにあるぼんやりとした「日本円は大丈夫」神話で成り立っております。
ある程度価値があると思われている「JPY(日本円)」でモノが輸入できているから。
でもニュースを見ると不都合なことが多い。例えば食料自給率は過去最低。
皆の収入が上がりながら円が強い状態が続けば良いけれど、皆の収入が下がりながら円が弱いと令和でも「働けどはたらけどなお、わが暮らし楽にならざり」なわけです。
農林水産省は25日、2020年度のカロリーベースの食料自給率が前年度から1ポイント減の37%になったと発表した。統計データがある1965年度以降で最低となった。食の欧米化などでコメ需要の減少に歯止めがかからず、主食用米の生産が縮小した。
「1人が1日当たりに購入した全品目の熱量」は2269キロカロリーで、そのうち「国内生産された食料の熱量」は843キロカロリーだった。37%台は93年度と2018年度以来だが、小数点以下をみると20年度が最も低かった。
品目別の寄与度では、米の生産減が最も大きかった。前年に豊作だった小麦の反動減も影響した。新型コロナウイルスの影響で畜産品の家庭用需要が拡大したことを受け、牛肉や豚肉などの生産量が増えたが、補いきれなかった。
農水省は30年度に食料自給率を45%に高める目標を掲げるが、足元は緩やかな減少が続く。農水省は達成に向けて「多くを輸入する小麦や大豆などの国産代替を増やしていく」と説明している。
最近ではパナソニックのリストラに有用人財流出が話題でしたが、有能だから離れるわけで、普通の感覚だとしがみついてでも残りたいという気持ちもわかる気がします。
この「アラフォー独身女性、4割が非正規」というのも問題。生産年齢人口をどこで区切るかにもよりますが、ザックリ言えば日本人口の約半分が正社員の半値以下給与で生きる国。
その先頭を走る団塊jrもいよいよ50歳。
つまり私の余生は頑張って2-30年程度。そこで私はこの世から消える。
(人生100年な悩みは今幼児の親の悩みですょ)
非正規労働日本人がどんどん消えるのに合わせて非正規労働外国人をどんどん入れて帳尻を合わそうとしてるわけですが、世界でも稀なる「賃金が下がる国」という情報はネットで海外へ筒抜け。出稼ぎに迷ったら最後に検討するのが日本です。
最近新聞チラシで「洗濯機30万」の文字に驚愕。
最新式である必要はないですが、子どもが大学進学や就職などで実家を離れる時に洗濯機30万は庶民感覚では有り得ないですよね。冷蔵庫で20万、炊飯器で10万といった具合に確実なるインフレが進んでおります。
「電化製品は食えないし」
そんな中、これまた日本国民として凹むニュースにも遭遇し、なんとも生き辛い時代を泳いでることに疲れが増す一方。この元ネタ記事は8月末の話だけど穏やかではない。
例のニューズウィーク記事。
薄々気づいてはいても目の前に「ほれっ」て突きつけられるとね。
日本円の価値が日々目減りする中で給与が下がり物価が上がるとついていけない人が生まれるのは想像容易い話。今まではそれを放っておいても一定数の非正規で穴埋めして国内マーケットを作れたのですが、人口が減り、日本人非正規労働が瓦解すると国内消費低下が止まらない。
更にコロナ禍で想定外の人口減少が加味される時代。
先の記事だと2-30年前と比較して倍額もらえてるはずが実態は横ばいか減額。巷で聞かれる二極化で日本では高給側だったとしても海外平均で見ると歩留まり満足な人もいると思います。
(非正規労働者賃金の低さは世界的に見てちょっと異常な水準)
これでも「現実は移民受け入れしか手がない」という楽天的な会話ですが、これで日本らしさをキープできるとしたら臭い物に蓋をする以外に思いつきません。
移民政策に対する不安は分かりますが、もはや他に手はないと思いますよ。幕末の攘夷論ではないけれど、現実を受け入れないと。人口減少する国に経済発展はないし、科学技術には国際的なトップクラスの人材を集める必要がある。その上で如何に日本らしさをキープするか。
— 三木谷浩史 H. Mikitani (@hmikitani) September 16, 2021
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ちょっと余談ですが、数少ない海外の知り合いのSNS情報を辿ると、そこそこ稼ぎがある人もインフレの速さに驚いてる様子なので、ちょっとよろしくない空気を察知します。出火元はなんとなく不動産価格の異常高騰。行き場を失ったお金が右往左往してるんですかね。まさかとは思いますが本当に超速でお金の価値が変化すると私のような者は論外として、1000万円プレーヤーも簡単にふるい落とされるんじゃないかというぐらいのようです。
グローバル経済ですから日本も影響を受けるはずですが、どうなりますやら。
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そういえば先日「にしおかすみこ」さんの実家における介護のひとこまがFRaUだかで連載という記事を見ました。彼女も47歳なんですね。世代としては氷河期で、SMキャラが板についてるとはいうものの、馬鹿を演じられるのは天才しか成し得ない所業なので心の奥底には鋼の芯をお持ちだと思いながら読みましたが、何が言いたいかというといよいよボリュームゾーンで介護の突撃ラッパを感じさせる記事。
すごい時代ですよ。
鳥井商店社長が45歳定年を叫んだ同じ月に46歳が親の介護記事。しかも介護はまだ序章で本番はこれからです。「保育園落ちた」記事を見た高齢者が他人事と同じように「介護施設順番待ち」も若者から見れば当然他人事です。
下の記事はとても面白いコラム。
すごく端折って要約するとオジサンのみならず国民全員が親の介護で人生の一時停止生活を強いられることは既に(働き方改革で)織り込み済み。今どき正社員で勤め上げるなんて時代でもないし、他の会社へ行くもよし。すでに自立して自由に稼いでいい仕組みにしてんだから「人生の一時停止中も頭を使って稼ぎながら介護しろよ」みたいなことが書いてあります。
こーゆーコラムを読んでますとね、建前として「失敗のリカバー時間を考えると長生きしないと損だよねー」と口では言いつつ本音は「病で死ぬのは避けられないのでいつ倒れても後悔しない日々が大事だなぁ」なんて思います。
改めて「自分、こんな時代によく介護しながら生きてるな」とか思います。
なんか話がすごい飛んじゃったけど、要は「山を買ってキャンプという消費社会を楽しむ道」を選ぶか「畑を買って農業も勉強して生き残る道」を選ぶか。いま世の中はこんな感じの2極化で進んでおります。
私だったら「畑を買って農業も勉強しながら隅っこでキャンプも楽しむ道」を選びますが欲張りですかね。でも農業は育てる中身を精査すれば希少価値もあり、値も付き、最低でも自分、欲張れば他人も消費できる。
既に収入源の多様化が叫ばれて何年も経ちますから、農業なんて手間のかかることは早めに着手しないと実を結べませんわな。でもね、農業は生き物の本質に触れられる時間なのでお金だけの選択肢よりも精神的には健康的じゃないかと思います。
そもそもなんで金儲けに明け暮れるかというと金がないと食うに困る国に生きてるから。食うに困らなければ金儲けに明け暮れない選択肢が増えます。なんでもかんでもデジタル解決できるとは限らない。人間はなんでもコントロールしたがるけど、それはちょっと傲慢。
以上、脳業の時代だけど農業が大切というメモでした。
「電化製品は食えないし、札束はやがて薪にしかならない、農業さえあれば人間は生きていける」
– 中村哲
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