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DEAH 「死」とは何か – 面白すぎる本

私の生涯で無縁なはずのイェール大学・ケーガン教授の名物講義だそうで、いよいよ完全版が出版されたということで手にとってみました。宗教ではなく哲学で斬った内容。超!おもしろい本。

私が育った頃から死は不浄のような扱いになり日常生活の外にあります。

祖父は赤紙を受け取り太平洋戦争へ出兵し、どこで何をしていたのか詳しく知りませんが最終的にはシベリア(の、記憶が正しければチパリという場所で)抑留生活を送り、人並みにマラリアなどにも感染し、骨皮筋衛門で死にかけながら(記憶が正しければ)舞鶴へ帰国し、そこから汽車を乗り継ぎ、時には寺に泊めてもらい、最後は船に乗って故郷に辿り着いたのですが、人生の最期は肺ガンを患い60代前半で亡くなったのは病院のベッドでした。

亡くなる日に私が居合わせた記憶は無いのですが家で死んでいないことは確かで、何度か見舞いに足を運んだ「(生活の外である)病院で亡くなった」記憶だけが残っております。親類の死に触れる機会はその辺りを最後に疎遠です。たぶん遺体の顔ぐらいは見てるはずですが....。

その後は仕事がら経営者とのお付き合いが増え、やはり経営者は総じて年配者が多く両手両足指で足りないぐらい葬式に顔を出しましたが...特に考えさせられることも、考えることもなく「人間は死に向かって生き、死ねば全て終了」といった程度の知識です。

読みながら直感的に感じたことは「死の勉強は小学生でした方がよい」ということと、もしそれを逸して大人になっても「宗教にのめり込む前に読むとよい本」だと思います。昔は家族が繋がっていたので誰かが死ぬことは人間の営みとして五感で感じることがフツーでしたが今は無理ですよね。とにかく病院へ放り込むのがフツーですから。以前にチラッと墓じまいのメモを残しましたが、たぶん殆どの人が理由を考えもしないで「うちは代々宗派が○○だから××」みたいな行動だと思います。その行動に疑問を持たずに営みが繰り返されてきたわけですが、国こそ違えどこんな授業が23年も続いたというのが時代の変化でしょうね。

一部にコケおろした書評を見ましたが、5次元、6次元、孔子、仏陀、精神性が勝るとか西洋哲学、量子力学がどーたらこーたらってね。社会に忖度して生きてきたバイアスが作動しまくっている大人のレビューを参考にすることは意味が小さい。とてもシンプルに「18歳がアメリカの大学で受ける講義が収められた本」ですから。そういう理解で読むとかなり高度な内容だと思います。

「墓じまい」終了の巻 - en1

 

魂ってナニ? てか存在すんの? って、どこに?

今回の読書は一気読みできず、全編通じて哲学的切り口なので理詰めで文章が展開し、4-5日読めない期間があるとあらすじを忘れてしまい時折ページを戻って「今どのへん?」と面倒臭く思いながら読み進めていましたが、気がつけば完璧にハマっていました。でもやはりアメリカの大学教授ということで、魂の存在自体を許容する展開にちょっと乱暴さを感じつつ、日本の仏教系大学だと(授業を受けたことは無いけどたぶん)死生観などは仏教概念在りきで授業展開しているだろうことを想像すると「死とは何か?」なんて斬新だなぁなんて思ってみたり。

一般にはテレビで心霊現象とか幽体離脱みたいな番組を見て単語として知ってるキーワードが「魂」みたいなことで、自分のアタマで考えもしないで大人になれば深く考える由もないですよね。今だとユーチューブの超常現象みたいなやつですかね。

たぶん誰が読んでもこの本はとても面白い内容だと思います。

魂?それって心?えっ?違うの!じゃあ脳?えっ?ナニ!?(・_・;?

 

不老不死は本当に幸せなのか?

そもそも論として比較できる共通の土壌にないと論じる意味もないですが、普段の生活はこんな視点になりません。マヂで。不死身なんて概念を待ち望むとするなら、現状の不都合なことを全て抹殺して病のない永遠に生きる世界を妄想特急です。時折アニメキャラとしては見聞きしますが、私はそっち方面はからっきしダメでよく知りません。もとい、仮に不死身が可能だとして.....それが本当に幸せかは疑問です。そのことも論じてありますが、命が永遠だと日々の生活を失敗していいのか?やり直す必要はないのか?失敗すら無いのか?途方もない無駄を無駄と捉える必要すらないのか?

「生きてるだけで丸儲け」という名言がありますが、改めて唱えても完成された言葉です。

今の世にあってはそれを長く享受できるか?短い命か?という論点もあったりしますが、いずれにしても人生は1世紀で収まるお話し。たかだか100年です。

20代の頃の仕事仲間と疲れて倒れるほど多忙な仕事をしていた時に「良い人生とは?」という話しになった時、その仲間は「死ぬときに嫌なことよりも良いことが僅か1ミリでも勝っていればokでしょ」と言ったのを今でも覚えています。たぶん当の本人は忘れてると思いますが、その時点ではそう思わせる経験をしていたからこその言葉だろうと思います。死は人間の知識としては「悪いこと、嫌なこと」ですが、大真面目に不老不死を考え続けると「ゴールがある、終わりがある、達成感があるのは良いことかもしれない」と思えてきました。だからこそ帯に書かれているような「人は、必ず死ぬ。だからこそ、どう生きるべきか」ということを考えざるを得ません。しかしこの授業...自分が受けるとなるとWithdrawしそうな気もします。理詰めはちょっと苦手です。

 

「死ぬときはみな、独り」というのは本当か?

これは私の父親がよく使うセリフ。

この本の8章「死の本質」と9章「当事者意識と孤独感-死をめぐる2つの主張」は面白い内容でした。

この2つの章に書かれていたことと父親の感覚はほぼ一緒と思われます。細かいことは割愛しますが、父親は職業的にわりと死を身近に感じる体験を持っているせいか「独り」という概念やタイミングをかなり正確に鋭く察知できていたことに驚きました。

しかしそれも時代と共に変化しそうです。

なんと申しますか...

そのうちホログラムとかで病に伏したベッド上で...いやいや、ちょっと妄想が過ぎますね。

 

とどのつまり、全ては自分のオツムの考え方次第

この世に遍在する遍く情報の全てを把握できずに死を迎えるカスのような人生経験において人間はどいうしても先人の知識や知恵を拝借したくなるとはいうものの、その真偽は本当のところ分かりません。なにせ同じ時代を生きてませんから。しかし本質をえぐるので格言として心に響く人が多いというだけです。自分で検証しないで鵜呑みにする言葉は山ほどあります。というか鵜呑みばっかりです。よって基本的にあらゆることが自分にとって都合の良い正常性バイアスな解釈になります。

残念なことに私という人間は、私と同じことを知る人、感覚を共有できる人が自分で認知できる範囲に居ることを確かめ、その同じ範疇に自分の身を置くことで常識という安心を得、迎合してレールに乗りはするものの「死とは何か?」という本を手にとってるわけです。全て自己中バイアスの延長。そして日本の昭和教育はそういう平均的ロボット人間を生み出すための動具であり、だからこそこんな本が手にとって読めることを有り難く感じます。どちらかというと自分と違う考えの人をブレーンにしたがるタイプなんですが人間ですから耳障りな人を遠ざけたくなることは否定しません。

人生において生きること、死ぬこと、魂、心、脳、睡眠、自殺、永遠に生き続けることなどを考察したことが無い学生だからこそ人気講義なんでしょうね。宗教的な「死なない」「生き続ける」「復活」「魂」といったキーワードに疑問すら感じない人生を送っていることが異常ということに気づけただけでも感動の一冊です。

最も印象に残った内容は「不死身で永遠に生きて何が楽しく幸せか?」という視座をいただいたことです。表層的な極々薄っぺらいことはいくらでも書けますが、大真面目に自分の命が永遠であったことを妄想し、そこでしたいことを考えたところで思いつくことは僅かです。

ものは考えようです。人生にゴールが無かったら案外大変。それはもはや人間の領域ではなく神の領域。

人間が存在していることを主語にして「人生には確かに価値がある。目的がある」かの如く語られることが多い世の中ですが、実のところ中身がなければ無価値であり、そこに価値を付与するのは自分自身に他ならないことがよくわかる一冊です。

「不死」と「生き地獄」は紙一重!?

700ページを越す分厚い本なので読み進めるのに1ヶ月近く要しましたが幸いにも台風のお陰で集中して楽しむことができました。おすすめの一冊です。もう一度書いておきますが「18歳がアメリカの大学で受ける死の講義が収められた本」です。上から目線のべき論展開ではなく、空っぽの脳みそで考える力を養うには良書だと思います。

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