岡潔の教育論

ありがたい一冊
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日本の国会では世紀の悪法が可決して日本が日々ぶっ壊れておりますが、みなさまいかがおすごしでしょうか?

それもこれも教育のおかげ。

(強引な導入ですが…)

そんなことはさておき、読みたい本がたまっているにも関わらず映像に感化されて一気読みしたのが「岡潔の教育論」という新書。

岡潔の本は過去に何冊か読み、とにかく「3歳ぐらいまでが大事」という記憶の「ミスター情緒」なお方ですが、改めて教育と無関係な人生を歩んだその辺のおっさんが読みたくなった理由となった動画がコチラ。

百聞は一見にしかず。

この映像内に共著の森本弘が残した書面がいくつか登場しますが、その「キーワードが気になった」というのが購入動機。

たとえば…

情緒の由来 : 子どもがいけないと気づくためには、恥ずかしいと思う心、慈悲心…
教育の根本問題 (動画で文字は読めないけど体系化されてるメモ)
道義の仕上げをする…人が悲しんでいると自分も悲しい
抑止 : 自分の波長が止められること
情緒が出口を見つける = 知性
男女に関する様々なことを情緒的に知りつくしていることを経験によって具体的に知る

こんな感じ。

これらのキーワードから察知した情緒は「いまの時代に欠けているものばかり」ということ。

最近なにかと話題のLGBT法案ですが…

 

言わずと知れた数学の天才ですが、文字面から伝わってくるイメージは社会学者や教育学者。

本書内にこんな一文があります。

人は、男・女性に関する様々なことを、さまざまな経験によって知るのではなく、情緒的に、すでに知りつくしていることを、単に経験によって、具体的に知るだけのことなのです。

教育者は、こういうことをじゅうぶんよく見て、しかるのち共学教育をするならするでやっていただきたい。

三つまでは、大自然にまかせきりにして、それを傍観しているより仕方ないのですが、四つからは、すこし大自然の教育に助力し始めたほうがよいと思うのです。  p.31 親の躾

これでいくと3歳までは文字通り「大自然から学ぶ」とか「自然に学ぶようになっている」といったことを感じます。

しかも男女の把握は「情緒が先で経験は単に知るだけの行為」とな。

うーむ。

 

LGBTQ+の良し悪しや生きづらさは一旦横に置き、それらの一部は過去の日本史に見られることを岡潔が知らないはずもなく、それでいてこうした見方をされているというのが興味深い点。

これを真に受けると、今回のLGBT法案などは徐々に利権化して小学校教育に紛れ込んでくると言われてますが、それを子ども自身が感性でジャッジするには3歳までの無為自然な学びと、4歳から小学校へ上がるまでの大人の助力が大事なわけですが、そこの期間で育児を保育園や幼稚園に丸投げ家庭だと情緒の小さい人間が出来上がるとも読めてみたり。

 

また全編を通して脳の働き、脳と心との関連性にも触れてあります。

一般的に脳と心は別ものと理解している人が大半だと思いますが、脳の中身は運動、言語、感情などを司る位置があり、たとえば脳梗塞で運動分野が壊れると半身不随みたいなことです。

そうした働きの脳が意識と無意識を自在に行き来して動いている。

(確かにそーなんですよね)

この本の内容に近いことが肉声でも語られています。

 

 

本書前半は「教育の三期」として年齢ごとにすべきこと、後半は脳のメカニズムを元にどうやったら思考や知性が働くか?教育へ応用できるかが書かれています。

とにかく数学者とは思えないことだらけなんですが…

 

日本は一般的には単一民族ですが、中身は時間をかけて色んな血が混ざってますよね?古い話だとシュメール人との接点に関する焚書からも「なんでその本消した?」みたいなことを感じます。

日本史は期間があまりにも長く克明でも、人生が短いので気づけませんが、結局は多民族の末裔。

 

岡さんの話はどれも日本全体、日本史全体を包容する切り口が多く、それは誰でもは持ち得ない視座で、その世界観から日本人的DNAを感じる部分が多いんですよね。

加えてどことなく今の社会にはまったく合わないような古臭いものも感じますが、それこそが本当は大事な部分でも、大事ではないような位置付けに追い込む、いわゆる西洋的価値観に麻痺している自分をどことなく察知できます。

岡潔 - Wikipedia

 

なんて言えばいいのか…

良し悪しや正誤は横に置き、国史全体が頭にガチっと入ってる世代が戦前・戦中・戦後をまたぐ人生だとこういう物事の捉え方になるんだな、ということをつくづく感じます。

いま風にいうと、テクノロジーを使って徹底的に部分最適で攻め込む西洋思想と、境目のない自然科学で全体最適を試みる東洋思想が融合できる教育を受け、それを言語化できる人。

敗戦後の丸暗記学習に理屈はないですよね。資本主義でも民主主義でも共産主義でも、そういうものとして、言葉として理解しますが、それがどの程度社会を席巻しているのかが見えないし、議論もしないし、教えられることもない。

あくまでも単語とその意味だけの記憶が中心。

それぞれの理由が歳を重ねるごとに見えるとよいのですが、現実社会で起こっている状況をみるにごく一部の人が、断片的に把握しているのが関の山。

 

このままいくと日本の義務教育は日本人を作らない教育になる可能性が高いLGBT法の教育への浸透を察するに、この本だけに書かれている事ではないですが、フリースクールなどは「教育の三期」方法を取り入れてみるといいかもしれません。

日本の教育システムは大学まで入れると「6・3・3・4」で16年ですが岡潔は「4・7・1+2・2」です。小学4年生までが「情緒の調和」、小学5年生から高校2年生までが「知性の学び」、高校3年生から先が「理想の素描」期間。

小学4年生までに「情緒の調和」が終わらない状態で前進するとイジメや不登校な気持ちが湧くと仮定すると、つまり3歳から6歳までの3年間で親がどれだけの時間を子どもに助力できるかが大切に思えてきますが…

私も歩いた道ですが、改めてふり返ると見事にパッパラパーな状態で過ごしており、「あー、ここが運命の分かれ道だったか」とか思います。

岡潔の教育論 | 出版社|コトニ社 kotonisha

本書でひとつだけ不満は、先の動画内で見られる書類の数々が巻末などに付録されていると最高ですが、すべて整えられて網羅されているだけというのが残念。

直感的なことですが、手書き書類から感じ取れるものがあるような気がするんですよね。

 

それにしても、真面目な話、情緒を都会生活で形成することには無理があるんじゃないですかね。

(てか、無理でしょうな)

不自然で人工な場所で自然を頭では学習できても感性が機微を捉えられないですよね。限界があるような気がしますが。

 

今となってはなんでこの本を読んだのかも不思議ですが…

岡潔は情緒の「情」が発育が複雑で難しいと述べていますが、たしかに心が青く、冷たく、コントロールできない大人が多いと感じます。「岡潔の教育論」おすすめです。

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