田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」は暫く腐らない本

ありがたい一冊
この記事は約5分で読めます。
スポンサーリンク

先日大阪で震度6弱の揺れだったそうで、昔は私も生活していた場所なので速報写真を眺めながら「こりゃ見た目の被害は少なくても簡易補修で逃げたら次の南海トラフで大変かもなぁ」なんて思っていました。やはり「6」という数字は構えますよね。頭の片隅に「6だと少なからず死者が出る揺れ」という認識です。

阪神大震災も散々な経験をしましたから市内中心部の方だと「あ、ヤバイやつだ」と感じるはずですが今回のように郊外の方は慌てたと思います。そんな中でも揺れが落ち着けば数分後には平然と会社へ向かう人々の姿が普通というのが異常という視点は少ないようで日本ではお馴染みの画です。

そんな折に読み終わったのが「腐る経済」という本。

 

日本経済は腐っているのか?

なんでこんな本にたどり着いたのかよく覚えていませんが、Amazonのお気に入りリストに仕舞い込んでいた本を片っ端から整理したときに注文したものです。

ここ数年の日本経済は横ばいで耐えている感じです。

一般的には好景気だったわけですが日銀さんがお金をばらまいてもインフレ目標は制覇できず白旗をあげたわけですが、異次元緩和政策は現状維持らしいです。世界は概ね緩和終了の鐘が鳴ったのですが日本だけが異次元のままです。

「異次元緩和」という言葉にも麻痺した感がありますが禁じ手を続けて5年目です。

値段は同じなのに内容量が減る「シュリンクフレーション」を確認できる「いつの間にか容量が減っている商品Wiki」

一般的にはシュリンクフレーションを実感しますが、なんでこんなことになるのか考えておりました。高齢化というマジックワードで「年寄りの消費量が減った」と言うのは簡単ですが、早い話が量産商品は量産消費でのみ成立するビジネスなので生産性を維持して企業の衰退スピードを弱めているというのが本音ではないかと思います。

 

すっかり消費の流れが変わった

自社取扱商品をライブ動画で宣伝販売することも見慣れた感があるぐらいです。

先日急に発疹が出始めたことが気になっていた父親が何かのテレビ番組で見た商品を私に説明してきました。そのキーワードだけ拾って検索し、それとおぼしき商品をネット注文し3日後に届く現実を見ても80歳ではピンときませんがこれが毎日全国で繰り広げられているわけですから知られない商品の売上確保は大変だと思います。

私の行動も御多分に洩れずではありますが、最近の若者は高価でも転売できるものを買い、短期間楽しんでは売却を繰り返すのがルーチンだそうです。少し違う言い方だと「この商品価値をシェアしたいと思う人が多いか?」を考えて買物をしているということです。異次元緩和が始まった頃からこの傾向は強くなったと思います。

 

日本で生産性を問う経済至上主義や企業モデルは続かないと思う

まもなく50が近いオジサンが今日明日の生活には困らない生活をしているとは言っても思考は合理化しており予見できる未来を想定して消費は極限まで削っています。もちろん2-3月の旅行のような自分の人生への創費は惜しみなく散財しますが知れた額です。

まもなくメルカリも上場ですが「中古品売買がGDPに組み込まれる?」という時代ですからその手の数値もあてにならない指標ですね。ザックリと言えば日本で消費者というのは50歳以上を指し、それ以下は異次元消費者かもしれません。昔の計算で進めば私の世代がガンガン消費していたはずですが既に瓦解が始まり息絶え絶えの人も多く、外国人労働者を入れて生産性をキープできても国内消費は上がりようが無いわけで、そういう現象を見ると「スタグフレーション」とか「悪性インフレ」というキーワードが過ぎるわけです。

「稼ぐ力」と「稼ぎ方の変化」と「スタグフレーション」 – en1

そもそも世に永遠はないですからいつかは終わります。

 

国民全員には循環しない経済

いつの時代もどこの国にも格差はありますが先進国でここまで冷え込むのも珍しいのではないかと思います。もしかしたら先頭を走っている国かもしれません。先日ものづくり白書でもメモしましたが生産性を上げるには「ロボット、AI、IoTを使え」という時代です。問題は本当に使う側か使われる側かを考えずに行動すると「生産性=ロボット=人間」みたいな並列が理解できず社畜化してしまう時代ということですね。

「ものづくり白書」間違い探しをしている間に変化してしまう時代 – en1

そもそも昔は日本全国ブラック企業レベルで働いていた時代があったことは認めても、それは終身雇用や年功序列で成り立っていたわけで、そういうベネフィットが一切消えた時代に同じことをしていてはブラックと呼ばれて当然の流れ。

変化できない企業に就職した後で「あ、間違えたかも」ということもある時代だと思います。

それにしてもあまりにもお金が無い人が増え、資産を持つものが富を築けるピケティの本のまんまな展開でも「生産消費の経済大国日本サイコー。明けても暮れても金、金、金」みたいな経済至上主義で頑張っても豊かさを感じられな若者は増えてるでしょうね。

今は次世代企業の台頭により多少新陳代謝を感じますが、そういう企業から外れてしまうと転職リスクもあるわけで…とにかく「なんでこんな変な構造になっても誰も止まれず、変われず、荒んだ雰囲気なんだ?」と思った時に読むと面白い本が「腐る経済」です。(前置き長っ

 

お金の循環が気になったら読むと面白いと思う

働くこと、働くことを止めること、転職することなど全ては自由ですが、自由過ぎる行動を続けると価値交換手段がお金しかない資本主義下では困窮するわけですが、そういう仕組みすらよく分からない方が読むと目から鱗だと思います。

ただし、この本に書かれていることを実行するのは大変なことで容易ではありません。

最近流行りの食べてはいけないリスト

パンのみならず口に入るものの意味と自分の死へのカウントダウンの要素、そこで確実に組み込まれるであろう医療・治療もまた金儲けのビジネスであることを考えると、不都合な経済循環の要因を考えるちょっとしたヒントを与えてくれる本だと思います。

『食べ物について知らない人が、どうして人の病気について理解できようか』

ヒポクラテス

 

share

コメント