人口減少に伴い意図的に、合理的に「都市をたたむ」

地方移住
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2065年に日本人口が8,808万人という推計が発表されていました。

1億を割った数値ですから今までにないインパクトですが問題はそれに至る過程の準備が遅れてること。現状から30%分不要な中古品が増えますし、有効活用できれば新品の需要は減ります。

今はまだ「あの人が持っているあれが…」的な広告になびく人もいますが、数年後には全く関係ない時代です。ある意味AIなんかより予想外のことが起こるだろうな、とか思う今日この頃です。

さてと…

ご紹介するのは都市計画の本。

人によって移動目的もタイミングも様々です。何か理由や目的があって移動することが多いですが、必ずしも目的が必要か?とも思うタイプです。私は71世代ですが、団塊Jrは既婚者でも未婚者でもそろそろ親の高齢化を考えます。

親が子供側へ寄るか、子が親へ寄るか。同居、介護、仕事など紐付くキーワードは山ほどあります。流行りのキーワードで言えば私はJターンですね。和製英語ですが…。

私も「こんな場所で暮らしたいな」という特定地域の不動産価格をチェックしていますが、昨年4,000万で売り出されていた物件が今年2,000万に値下がりしているのもがありました。土地も家も墓場まで待っていけず、引き継ぎ手のない物件を体が元気なうちにと思いオリンピック前に売り出しているのに、既にダブついている感じ。

(オリンピック後には続々と物件が現れ、激安で入手できる日も遠くないと思います)

読んだ感想は…地方移動を考えた時に読んで損はない1冊だと思います。そもそも都市や不動産の標準的知識も怪しい人生を歩んできましたが、老人が増えようが子供が減ろうがみんな仲良く共生しないといけませんが日本全国空き家だらけですから共生する人すら減る中にあって、どこでなにをして生きるかは大事です。そこで参考になった言葉をご紹介。

・生存率は人間がコントロールできない。出生率はあるていどできる。

そのまんまです。人口は増えず減ることだけは確実です。今まさに真っ最中。仮に「もし全国民が家を持っていたら、家から出てどこへ行きたいか?」を妄想していました。それが自分の場所や仕事に関係してきます。

・都市の目的は経済を成長させる場所

そのまんまです。経済圏で生活するということはお金を稼ぐということ。収入も増えますが無計画に使うと支出も止まらない場所でもあります。つまり地方を経済で捉えるのは論外。そこは収入が少ない場所ということ。ネット時代で場所は関係ないとはいうもののここで立ち往生する人が多いのは当然。都市の目的は経済成長です。自分の目的も経済成長を求めるかどうか。求めると流行(消費経済)を楽しめます。

・ローン = 将来の自分の労働時間

そのまんまです。結婚して子供が生まれ家を買った後のリストラでびっくりするほどお買い得な中古物件もちらほら。家が買えないというよりも、地味に待っていれば誰でも家が持てる時代になると思いますがどうでしょう。

・土地をお金で買うのは近代のお話し

そのまんまです。戦後の日本人は経済一辺倒で走ってきたので土地へのこだわりがありそうですが、それをお金でやりとりしているのは最近の話し。お金と土地をリンクさせて経済活動が活発になってきたわけですが、人口が減れば土地が余りお金とリンクできる場所は限られた場所だけになるんでしょうかね。これも過去に経験のないことが起こります。子や孫がいると「受け継ぐ」という思考ですが、現時点で既に「受け継がない」割合が見えているのですから今までとは真逆のことが起こるはずです。昔は土地を小さくしてもインフラという付加価値を付けて経済に組み込んで売れました。これからは人口30%分余るわけですから30坪でも50坪でも「狭いながらも楽しい我が家」とか歌っていた時代は昔話。「そんな小さい土地?要らんよ。最低でも100坪からでしょ。」とか、1人で生活に必要な広さはしれたものですし「庭付き(プール付き)だけど狭小戸建て」とか新しいカテゴリーも生まれたりして。

・超小規模。多方向化。

そのまんまです。人口が増えた結果が今ですが、どの会社も人手不足を予想した動きに変化しています。戦後から今までに消えた仕事が復活することもありえます。大規模店舗に駆逐された田舎のなんでも商店が復活するかもしれません。野菜、酒、調味料、洗剤、鍋、アイスクリーム、お菓子、文具、除草剤…昔はそんなお店がありました。コンビニすらコストに見合わない日が来ることでしょう。人が足りないということは1人が何役もこなす日が来るということですね。

他にも楽しいことが沢山書かれていました。

どこに住んでいても最も気になることは仕事とそれに伴うお金。

仕事を生み出せない自治体は「仕事を持ってこれる移住者歓迎」と集めてみたり「仕事は都会への反復運動とネットで解決」と頑張る若者もいたり。この問題はコミュニティの在り方を無視すれば解決しますがそう簡単に断捨離できません。

願わくばローカルが持つ文化やコミュニティを残せるような試みは必要だと思います。古いものが残りまくると京都みたいなことができます。行き着くところは「金の話しかよ」となりますが、過去の捉え方、未来の妄想、自分の年齢を考えるとお金の捉え方にも変化が生まれますし、そういう意味でモヤモヤな中年におすすめの一冊だと思います。

実は引越し先の真横の古民家が入居日から取り壊しが始まりました。築約40年だそうで長らく空家だったそうです。潰して新しく建設が始まるのかと思いきや「小さな畑にしようと思ってるんです」とな。たぶん30坪ぐらい。一応町の中心部ですよ。持ち主曰く「人が都会に移動して売れませんよ」と。本に書かれているスポンジ化を地で行く展開です。

本の中で最も興味深かったのは事情が異なる赤の他人が関わり合うことなので行政の思惑通りに進まないという点でした。夕張の例もそうでしたが「買い物にも困るんだから引越せばいいのに」と思う人もいれば「もう死ぬまでここでいいよ」という人だっている。お金があってもなくても歳を重ねて変化に対応することは気力も体力も両方必要です。マンションでも月曜日のホテルのようにまばらな明かりという場所があちこちで発生します。この本ではスポンジのよう(な町)になると書かれていました。数年後のマンションは半分民泊、半分賃貸もありえますよね。それでも埋まらない街まであと数年です。

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