金繕い(モドキ)を施して大皿の化粧直し

DIY
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本日は田舎者っぽく金繕いについて書いてみようかと思います。

一般的には金継ぎと呼ばれますが控え目に「金繕いモドキ」です。知ってる人は知ってる、知らない人は知らない日本の伝統文化でしてオジサンは20代の頃に一度だけ真似事をしたことがあるのですがすっかり忘れていたところに以前紹介した「IN THE LIFE」に紹介されていて思わず再挑戦した話しです。

IN THE LIFE vol.3 金継ぎにチャレンジ

金継ぎというのは割れたり欠けた陶磁器を漆で接着(継ぎ)し、同時に金彩を施して修理することで、モノを大切にしながら同時に新品とは違う侘び寂びリメイクな美しさを楽む日本ならではの技術です。今ではそれがオシャレみたいな感覚もあるようで、わざと金継ぎしたボトルデザインとかもあります。普通に検索するよりもヤフオクなどで検索した方がリアリティがあると思います。

金継ぎを調べると「金継ぎセット」みたいな紹介もあるのですが「IN THE LIFE」は結構優秀で最低限必要な道具が書かれていたので久しぶりに挑戦しました。

で、「金繕いモドキ」というのは欠けも割れもないけれど、あまりにも使用感たっぷりな皿を綺麗にしたいと思い「モドキ」です。というのも3-4年ほど前に撮影絡みで大きな角(盛り)皿にはまったことがあります。まだ熱心に撮影の仕事をしていた頃、小道具が必要になった時に一般家庭では邪魔にしかならない器が必要だったりします。

今から4-50年前、オジサンがフルチンで走り回っていた年齢の頃は親戚一同が集まれば必ずこういうお皿が必要でした。たぶん皆さんのご実家とかにも眠ってますよね。で、丸い大皿は多いのですが角皿は探すとなかなか気に入ったものと出会えません。ちなみにこの盛り皿は長さが40cmほどあります。

で、「あ、素敵」みたいな写真の背景は映り込むディスプレイがお洒落だったりします。この仕事のあと1年ぐらい角皿にはまってました。新品で入手できないのでフリーマーケットとかをウロウロ。

金彩が禿げて使用感たっぷりなお皿。

その時使った皿を今でも大事に使っているのですがもはや撮影には使えません。手荒に使いすぎ。シャビー感はイイ感じですが、この手の皿にシャビー感が出ると古臭さが強調されますよね。内側の小傷は着物の端切れなどで隠せますが、皿の渕(フチ)まで隠すと「皿に飾る意味無いし!」ということで渕だけでも綺麗に修繕しようということでした。要は皿としても使えるけどインテリアの一部として使いたいので見栄えを復活させたいという試み。

「金継ぎ」だと少し準備物が増えますが「金繕いモドキ」で用意するものは3つだけ。全部で約1,000円ほどで揃います。ちなみにこの方法で修理して綺麗になったからといって手でゴシゴシ、食洗機でガンガン洗えば再び禿げます。あくまでも簡易修繕です。当たり前ですよね焼成加工では無く単なる手直しですから。台所用スポンジで軽く洗うぐらいは耐えられますが、それを何度も繰り返していると結果は一緒。いずれ禿げます。

「新うるし」+「新うるし用うすめ液」+「金粉」

参考までにAmazonを貼っときますが、楽天でもヤフーでもどこでも売ってます。しかも釣具屋さん。釣竿の修繕で使う材料をそのまま利用できます。オジサンは「新うるし」と「うすめ液」だけ仕入れました。金粉は大昔の在庫をそのまま使いました。もったいないから。

ちなみにこの手の金粉というのは厳密には金粉モドキだと思った方が良いと思います。いくら少量とはいえ激安。中には銅や銀が含まれすぎて自分が想像する金色と違った色味になることも多々。蒔絵などに使われる金粉はほんの少量でも超高価です。本物を見たことがあれば偽物の質感というのは残念です。

ついでに、オジサンは金彩を直したいと思ったのですが材料としては銀粉や銅粉だってあるわけで、好みの色にリメイクするのも楽しいと思います。お皿のフォルム、デザイン、生地色によってはリメイクで化けそうなお皿も沢山あるでしょうね。もちろんガラスも修理出来ます。銅継ぎって聞かないな….。

もちろん塗るのに筆は要りますが…。

これを「1:1:1」の割合で混ぜて塗る作業です。金継ぎの場合はどれも少量あれば間に合うのですが、ほんの少量を「1:1:1」で混ぜると「スポイト一滴」みたいな細かい作業になります。お醤油一滴みたいな感じです。

ということでこのお皿、たぶん有田焼の量産品だと思いますが渕の金彩が禿げています。

元々は職人さんが手書きですぅ〜っと線を描いていると思うのですがオジサンはど素人。細かく見ると金色の線は皿の内側と外側に白磁が見えています。内側修正は簡単でも外側は難しい。どのぐらいの幅を残して金線を均一に仕上げられるかは未知の世界。ということで内側は少し白磁が見えるようにし、外側は視界に入る側面を全部塗りつぶすことにしました。このちょっとしたことで「品があるか、ケバく見えるか」の違いが出ることは承知の上。お目汚し写真をポン。

渕をマスキングテープで養生して塗りやすく。

マスキングテープが無かったので、マスキングテープモドキを代用。よく文具コーナーで売っているデザイン処理されたマスキングテープ。無ければ セロテープでも問題ないですが透明なので目を凝らさないと見辛い。このモドキテープすら白っぽくて見辛い。

一番気を使ったのは角皿だけに角。ここだけは綺麗な丸みを残したかったので目を凝らしてテープを何度も貼ったり剥がしたりしました。直線はかんたん。真っ直ぐ貼るだけ。

塗り始めると作業時間なんて1時間もかかりませんが、この後たっぷり時間をかけて乾燥させます。普通は2-3日放置らしいのですが、特に用事もないお遊びなので1週間放ったらかし乾燥。あえて気をつける点といえば塵やホコリが被らないような場所に置いとくことぐらいですかね。

混ぜて、塗って…

上の写真の左下の茶色の液体が「新うるし」。その上が「新うるし+金粉」。本来こんな量は要りません。分かりやすく多めに載せただけで、小さい繕いであれば小指の爪の先ぐらいの量で十分です。こんな茶色い液体でもまぜまぜすると立派な金彩を放つ塗料に大変身します。それを皿の渕にぬりぬりして遊んだだけです。

ビフォー&アフター。多少見栄えが回復。

あまりにも変わりすぎてカメラのピントが繕い部分にバッチリとフォーカスしたので見様によっては新品のような異彩を放っております。地味にこだわった境界に薄っすらと見える白磁。オジサン的には満足しております。

出来栄えはともかくとして、陶磁器が割れたり欠けたときに「金継ぎ 」という単語が思い浮かびませんよね。直感的に「あーぁ、そこそこの値段がするのに….不燃ゴミか。邪魔になる…」的なことを思い浮かべませんそれだけモノに対する価値や愛着が低いものだらけの中で暮らしてるってことでしょうね。使い捨てる方が安くつくという発想。

そのくせ食器棚にはご自慢の逸品が使われずに鎮座してたりしますよね。

オジサンも無類の白磁好きで、「愛でて楽しむ」ニンマリ感も理解できますが、よくよく考えると普段の生活には1セットあれば十分だったりします。こういう修理作業を楽しむといかに大皿とは言え量産品だし…いろんなことを思い巡らせて面白いですよ。

「修理して使う」という思考はモノの価値を理解するのにとても役立ちます。

余談ですが、私は人生で引越しが多いタイプなんですが、引っ越す度に荷物の梱包や開封を繰り返していると持っている絵の額縁に少しずつ傷が増えるので、たまぁ〜に修繕します。あまりにも酷いと額縁全体にサンドペーパーをかけて全部塗り直したりするのですが、今回金継ぎモドキで余った塗料を有効利用したかったので、ついでに額縁の金彩も塗り直してみました。

額縁の金彩も塗り直すと飾り甲斐があります。

あまり金ピカが好きではないので水性ウレタンニスのツヤ消しクリヤーを重ね塗りしているのでピカ度は減少していますが全体が蘇って満足です。

趣味のない中高年オジサンにオススメする雑誌 IN TEH LIFE – en1

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