「世界でいちばん貧しい大統領」愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ

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タイトルが安直すぎて飽き気味ですが、事実その通りのペペおじさん。

私はサブスクしない生活なのでダウンロードかレンタルか迷ったのですが、この老人は差別なくあらゆるメディアにたいして同じことを伝えるのでレンタルに止めましたが、それで正解。

内容は面白かったですが、相変わらず同じことを語っていました。

でも同じことを語っているという安心感で見入っちゃいましたが…世にこういうおじいちゃんがいてもいいですよね。やはり語録に含蓄があります。

ご本人曰く「投獄された時の孤独な時間が今の自分を形作った」らしく、あれがなかったら傲慢になっているそうですが、分かる気がします。

さらに私たちは投獄経験にも影響を受けた。独房で過ごした孤独な日々で、生き延びるために様々なことを考え抜いた。すべてはあの孤独な年月のおかげだ。あの敵意に満ちた過酷な環境がなかったら、今の私たちは存在しない。

今はつながることの意味が無機質で薄くなってますよね。たぶん意味も履き違えている。

インターネットがたまたまそういう機能というだけで、人間の意思に基づかないシステムのつながりはインターネット以前と比較するとつながっていないのと同等だと思います。それを「スマホひとつでポン」みたいに表現し、それに乗っかった全世界。

それを使わずとも本質を会得していればこの人のような会話になっちゃうわけですが、そこへは雑音が多い状態でたどり着くことは難しい。投獄は自分と向き合い、他人と分かち合うことの勉強時間だったようです。酷な時間ですが。

そんな人生のお陰でいちいち語録が面白いのですが…

  • 人は好事や成功よりも苦痛や逆境からより多くを学ぶものだ
  • 最良のリーダーとは自らが去る時、自分を超える人材を残していく者である
  • 時に悪は善である、そして逆に善は悪にもなるんだ
  • タンゴは郷愁そのものだ、何を手に入れ、何を失ったか。人生での喪失を知る者のための歌なんだ。いくつかの挫折を味わった後に、好きになる音楽だ
  • 文化とは壁に掛けた絵や映画制作じゃない。毎日の暮らしの中で従うべき価値観のことだ、より良い社会を作る土台だ
  • 今の時代我々は英語を学ばねばならない。有無を言わずに。そしてあなた方は二カ国語を使わねばならない。
  • 貧困層には花の育て方を教えるべきだ、土があれば育つし、富裕層は常に存在する、彼らに売る花を生産すればきっと稼げる、富の分配だ。南米で貧困層は食べ物を買う。お金があれば人は花を買う。
  • 人類に必要なのは命を愛するための投資だ。

メルカリでホセ・ムヒカを検索すると300円程度の古本が山ほど出てきます。たぶんこの状態を本人は喜ばないでしょうね。

しっかし、まぁ、ただものではないですよね。

貧困層出身であり、大学も卒業し、畜産や花売りで苦労し、ゲリラであり、逮捕され、脱獄し、投獄され、そして大統領。

ちょっと話がそれますが…

今ひそかに海外逃亡計画を練っていたりします。

まだまだ先のことですけどね。

その旅の計画を練っていると自分がしたかったことがどんどん膨れ上がってきて旅の日数なんて1年では全く足りない、4-5年はかかるんじゃないかと思えてきました。それだけの時間をかけて旅すると日本での生活には様々な問題が生じるのですが、その多くは「国家と資本による縛られた人生」という…話が外れすぎるのでこのことは改めて。

でね、このおじいちゃんは世界中で「何かを買うとき、それは自分が費やした時間で買っている」という話しをするわけですが、それを(海外)旅行に当てはめたとき、10日間程度の旅行というのは資本主義的消費なんですよね。未知との遭遇や非日常が好奇心を刺激しても旅全体の満足度が低い。何かイベントをしただけの時間。

自分が旅行商品を買うとき、自分が費やした時間で買うと場合によってはお金をドブに捨てることになります。例えば10万円でハワイ5日間に行って色々と楽しむかもしれない。でも現地での移動にも、食費にも、観光にもお金はかかる。とても10万では収まらない。

旅行会社、レストラン、交通機関など関わり合う全ての人が「できるだけ時間をかけずに、手間をかけずに、今までかかっていた手間を自動化してでも儲ける」ことで成り立つ社会で人並みに消費社会を楽しんでいると庶民の財布は常にゼロになるようにできています。

私の旅の計画は自分が費やした時間に見合う対価になっているだろうか

そこで…

常識ではありえない長期の旅を考えた時、今まで私が人生で金儲けに費やしてきた時間と残りの健康で過ごせる時間を天秤にかけ「1年ぐらいでは回収でけんがな。やっぱり4-5年は要るな」と考えるきっかけの映画となりました。

ホセおじさんの思考は今の時代とても大切ですよね。

君が何かを買うとき、そのお金を得るために使った「時間」で買っているんだよ
お金は人工物で人によって持っている量が違います。時間はある意味自然で誰でも等しく量は一緒です。しかしお店の看板に「預貯金2000万の方専用の店」とは書いていません。書いてはいませんがブランドショップは書かなくても書いているのと一緒。

変化することも大事ですが、その変化に費やした時間を回収しながら人生を進める必要があるんじゃないですかね。今は回収しないまま変化に追われストレスで壊れる、とてつもなく歪んだ時代に感じます。あらゆるスピードが人間にとっては不自然。

例えば現代社会で自分のキャリア中断や挫折による不遇期間のストレスは半端ない苦痛だったりしますが、ムヒカおじさんが投獄中に自分と向き合った時間がその後の人生を形作ったことを思うと「それも悪くない糧だな」とか思えるものです。

人は好事や成功よりも苦痛や逆境からより多くを学ぶものだ – ホセ・ムヒカ

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