今回は南米移民史メモの番外編。
2020年にダリエンギャップについてメモしました。一般常識としては地球上でもっとも足を踏み入れたくない場所のひとつだと思います。

かの関野吉晴さんも「自然より人間が怖い」とか「とにかく気持ち悪い」と話される場所。
関野さんは地球パズルに欠かせないピースだから踏破されただけで、普通の人は「遠慮する」という場所に去年は絶賛経済崩壊中のベネズエラ経由で南米と関係ない中国人までが右往左往しているニュースまで耳にする場所。
むかしは西側エクアドルからコロンビア経由が有名でしたが今では東のベネズエラからもとなると流入人数がうなぎのぼりというのもうなずけます。
パナマ移民当局の幹部、マリア・イザベル・サラビア氏はメディアに対し、同地峡を越えた移民の数について、昨年1年間の人数を7月31日に上回ったと説明した。
同氏によれば昨年は「前代未聞の年」であり、合計で24万8284人がダリエン国立公園を通過した。今年は7月30日、31日の両日で1869人が地峡を越えており、年初来の累計は24万8901人になったという。
危険な地峡越えを行う人々の2割前後は子どもや若者だとされる。
そのうち少なくとも51%は5歳以下の幼児だと、サラビア氏は付け加えた。
同氏によると、ダリエン地峡を越える人々の内訳は、ベネズエラ人とハイチ人が大半を占める。以下コロンビア人、エクアドル人、南米大陸以外の移民と続く。
60キロのダリエン地峡を越えて、移民たちはコロンビアからパナマへ移動する。米国やカナダへの到達を目指す人々にとって、ここは重要な通過点となる。 – CNN 2023.08.02
7月段階での24万人は12月に締めると「約52万人」という数字に膨れ上がり現場のカオスぶりが伺えます。なんでこんな危険な場所を命がけで移動するのか?というと「じっとしてると死ぬから」です。
余談ですが日本人はすり替えキーワードを察知する能力が弱い。
どうしても文字面を真にうける傾向が強くそれだけお花畑度合いが高いわけですが「就労入国」と聞いても「本当に就労だけで終わる問題か?」というアンテナ感度は必要です。
それほど世界は不法入国者のニュースで溢れています。私が最近見た動画で一番インパクトがあったのがこちら。本当に「51%は5歳以下の幼児」というのが一目瞭然。
なぜ「51%は5歳以下の幼児」になるのか?ですが、それはアメリカ最大の闇「児童誘拐、人身売買、性的虐待」に消えているとも言われています。
むかしの日本人は超アクティブで勇猛果敢すぎたかも
むかしといってもせいぜい1世紀前の話ですが…
ダリエン地峡の読書後に「よくもまぁこんな場所へ行って本まで書いて、世の中には色んなことを思って行動する人もいたもんだなぁ」と思って調べていると、「大塚真琴」という人がそのことについて書いた記事があるという情報を見つけました。そこで調べてたどり着いたのが「移住研究」という冊子です。これはJICA発行の業務資料で、関係者が赴任先などで調べた論文がまとめられています。以前、ペルー移民に関するエントリーで少し触れています。

この「大塚真琴」という方もある意味「持っている」方で、ペルー、ボリビア、パナマについての考察論文は「事実は小説より奇なり」の連続。
24号にこんな一文があります。
それはこっちのセリフです。読んでる私が感慨にふける情報だらけです。しかもそれぞれのストーリー展開がまさしく「事実は小説より奇なり」の一端をご紹介。
ひとりの女性が見学にやってきた
「移住研究 No.22」では天野芳太郎とパナマの関係などを紹介しながら話が進みます。著者は天野さん本人に会ったことがあると書かれています。
そしてこんな文章が…
15. MAXIMO OCHI CH 19 BC

ダリエン地峡とその主な河川 p.140
仕事が減る未来に参考となる移民書籍の数々
移民、移住系の本は日本民族が22世紀も残るヒント集にも感じます。そもそも「なんで移民したのか?」というと、特に初期移民は「日本では食えないから」です。経済移民。
では「なんで食えないか?」というと「日本に仕事がない」からです。もしくは自分で仕事を生むことができないから。
では「なんで仕事がないか?」というと「それを予測行動できなかった」からです。
いまの日本の状態にもピタリと当てはまります。そしてあと15-20年後に私の世代が死にはじめると日本は再び「仕事がない」時代に入ります。
人口が減るということは、会社も減ることであり、仕事も減る、収入も減る。売る人も買う人も減るということ。
まもなく仕事がない社会がやってくるのです。
そうなると選択肢は3つ。
- 食えるだけの手に職、学力、経験値を上げて雇われる
- 食えるように自分で何か(事業を)はじめる
- 食える異国へ出かけるパイオニア
20世紀は総じて1番が無難な時代でしたが後半は大学教育という名の教育ビジネス化&量産化で「大学、そんなに要るか?」という風潮もチラホラ。それも淘汰の最中ですが21世紀にも通用するか?というと通用するけどそれで幸せな人生を遅れるかは別の話に思います。
私は21世紀は2番の選択がよいと思います。もちろん1の「手に職、学力、経験値を上げて雇われる」も経験できればよいですが、いま生まれている0歳児が暮らす日本社会はすでに仕事減少時代に突入済ですから1に割く時間が適当かの判断かは悩ましいですね。なにせ情報スピードも早くタイミングを誤ると大事故になります。


3番は今の日本で選択肢としてレアケースですが、この120年かけて作られた各国の日系社会とて永久ではなく、未来は「ここ沖縄居留地はむかし日本からの移民によって開拓された街でしたが2050年に云々…」で消える可能性もあるわけです。
案外現地の日系人からすると「お金の問題は一旦横に置いて、これをどうすれば引き継げるか?」を考えているのでは?と思います。そう考えるのが日本人DNAだろうと妄想していました。

いずれにしても今のうちに次世代への手を打つ必要がありますが現実は人口減少の手前に円安で息の根を止められています。
(おらく2024年4月25日に実質実効為替レートは1960年台へ逆戻り)
米ドルも日本円もゴミの状態です。どれだけ豊富な対外資産でもゴミはゴミ。
これだけ長期ものあいだ経済成長なく生きられたのは、もちろん自助努力もあるのですが、氷河期世代や非正規雇用が黙って辛抱している環境が続いたからでもあり、その世代が消えたその先は地獄が待っています。
それを日本への出稼ぎで埋め合わせしているのが今です。
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