人口減少日本で各地に起きること – 2035年の地獄絵図

未来の地図帳 ありがたい一冊
未来の地図帳
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2019年7月は参院選の真っ最中です。

人口が多い場所と少ない場所の1票格差が4.77倍?らしく、それも人口減少によるところですが、与党は実態としてはバッサリと切り捨てつつ言葉遊びでは相変わらず「全世代型」的経済中心の政策を掲げ、他方の野党はさっぱりよく分からない、議論が成立していないリアル舌戦状態で中身ナシ。「これで選べとか無理ゲーでしょ?罰ゲーム?」とか書いてた若者の気持ちも分かる気がします。

チラッと新聞折込や玄関ポストの政党チラシを見ましたが絵空事すぎて現実味が一切湧いてこない文字列でした。なんとなく亡国的で大丈夫じゃなさそうな空気に感じるのは私だけか…

 

人が住む場所が限られる時代へ

この本もあっという間にシリーズ化しておりますが、今回は各都道府県サイズで見つめ直しているところが面白い!と喜んでもいられないのですが、最近はデュアルライフも賑やかで、空き家だらけ時代ですから(固定資産税)家賃を払えれば1家に2軒時代はアリかもしれません。でもそれも経済的豊かさの延長ですから振り返ってみれば無駄遣いなんだろうと思います。

ぼんやりと気になったポイントメモですが…

  • 古都京都は新都化し過ぎて、いずれ魅力が廃れる
  • 関西圏の道州制とか古臭い。関西の人口減少スピードは日本最速
  • 1年間に生まれる子どもの数で首都圏はトップ10ランクインなし!
  • 首都圏の介護難民増加は避けられず
  • 既にロスタイムも使い果たし、人口減少阻止は失敗の巻
  • 東京の栄華もこの先10年で徐々に右肩下がりへ

 

47都道府県はもはや維持できない!

だれもが「たぶんそうなるだろーなぁ」と思っているはずですが、いざ見出しに使われると寂しいものがあります。3年ほど前にちょっと気になる物件があり徹底的に調べたことがあります。昭和初期の地図まで購入して地域の歴史を調べ購入しかけて止めた物件。

その物件はとある県境に位置していた(とはいっても県境から20キロは離れた場所)ですが、色々と調べ進めると昔は隣の県で、戦後編入されたことが判明。私が生まれる前には隣の県だったことが衝撃的でした。島根と鳥取も2つ合わせて島根県だったというのは有名な話しですが、その令和版がこれから始まるんだと思います。

覚悟すればテレ東の「ポツンと一軒家」なんてコンテンツにならない場所だらけの時代へまっしぐらの最中です。東北や北関東も再編がありそうですがどうでしょう。

 

その他ちょっと気になった行あれこれ

外国人労働者投入と少子化が相容れない作用を引き起こすことへの警告として「日本の国力が残っているうちのほうが(社会の作り替えを)成功させやすい」とありましたが、もしかしたら既に国力が残っていないのかもしれません。ど田舎でも外国人が増えてますから。

霞が関で考えた「地域包括ケアシステム」を担う人が減る。これは文字のまんまです。最近は私もここへ顔を出しておりますが、ケアする人がケアされる時代まであとわずか。というか、この地域包括ケアによる在宅介護誘導システムを見直さないまま突っ走った場合、全国で地獄絵図が展開されます。

地方食料とエネルギーで成り立つ「東京は地方衰退とともに息の根が止まる」可能性があるわけですが、その逆も然り。息の根が止まる前に地方をすっ飛ばし、海外需給に舵をきると地方衰退は倍速で進みそうな感じ。同じ論理で潤う超局地的地方も出てきますが…。

どんなに頑張ってもメニュー豊富な東京に人が吸い込まれる図式です。地方はどんなに小さなことでも突出した1番の唯一無二商品を揃える努力が必要な感じです。もーね、東京が逆立ちしても出来ないことをしないと地方は生き残れません。それは可能だとは思いますが、娯楽量が違いますしVR時代ですから足を運んでもらえるには至らないかなぁ。

この本では東京の異質さを「外国」と表現してありますが、日本で活気が残るのは山手線内だけのような書きっぷりです。仮にそうだとしたら未来のメディアは面白いですよ。東京以外はニュースにする必要が無い。日本は東京以外全て終了でコンテンツ化不能の無人地帯だらけです。そういうのは個人メディアで成り立つかもしれません。

2034年の団塊世代85歳以上による首都圏流入予測は当たらない気がします。子の世帯を頼る以前に、子の世帯そのものが大立ち回りが必要な状況に四苦八苦してるような気が….。

 

経済一辺倒の政策を続けると人は東京へ吸い込まれ続ける

これって、もはや自己防衛本能ですかね。東京一極集中は人生のリスクヘッジみたいな?違うとは思うけど…。

私の親も高齢でして、都会に住む私の兄弟はこの本に書かれている通りのことを会話しております。100%この本に書かれているまんまです。それは年老いた両親を首都圏へ呼び寄せ、そこで一緒に暮らす図式。「こっちでバリアフリーの住宅でも借りて、そこで一緒に暮らさないか?」案です。この理由は一にも二にも仕事や収入を優先させるからです。結婚して家族がいればそう簡単に住まいを故郷へ移すわけにもゆかず、かくして東京に人が吸い寄せられるようです。ちなみに私は真逆を歩んでおりますが。

東京が故郷の人は別として、都会は金を稼ぐところで高齢者が和む場所としてはキツイと感じますがどーですかね。街の設計が金儲け中心なので長閑な棚田が残るはずもなく。それでも欲求を満たすために無理やり整えるわけですが、それすらも金次第というのが東京です。

人口減少に伴い意図的に、合理的に「都市をたたむ」 – en1

そろそろ地方都市は対極を目指して良い気がします。島根とか秋田の様子を知ると、2019年時点で既に全都道府県を同じ土俵で議論することに無理がありますよね。

地方が東京の真似事を続けたところで人が増えないことは確定していますし、それでも生活にお金が絶対となれば、地域・僻地の切り捨て御免も止むなし。痛みを伴ってもある程度経済活動が成り立つ場所へ移動して「この場所だと50年、100年は安心かな」という場所を作らないと年金みたいな発想になりますよね。たぶん。

そういう場所が(たぶん現実的には作為的だけど)自然発生的に生まれ、経済活動も緩く続けられる場所が生まれると穏やかな時間が流れる場所になると思いますが、なかなか難しいですね。トドのつまりが「 幸せとは一番したい仕事をしてしたい消費生活ができること」と言った堺屋太一さんの言葉は言い得て妙です。資本主義だから東京一極集中は仕方ないことなんでしょうね。

 

国土のグランドデザイン2050

この本の中でちょいちょい引用されている国土交通省の「国土のグランドデザイン」というのは2014年にまとめられたものがサイトでも公表されておりまして、多くの方が興味深く読まれた資料のひとつですが…

私の稚拙な経験からして、20代の失敗は許されるんだけど、できればコケずに歩いてた方が後々の人生設計が大きく狂わないで済む30代前半ぐらいが2035年前後にビンゴな年齢は要注意に感じました。もちろん全世代要注意ですが。

2019年現在で中学生ぐらいですが、その親が生きる今と子が生きる未来が天地の違いです。まぁその時代になれば若者はネイティブな能力を発揮するとは思いますが、この本を鵜呑みにせずとも高齢化と人口減少は止められず、あらゆる常識が通用しない、ひたすら縮小方向へ変化し続ける時代を生き抜くって大変です。たぶん私も生きてる可能性が高いはずですが、それはそれは大変な時代ですよ。きっと。

たぶん今中学生の親世代は「大丈夫、私はついていけてる」と思ってるはずですが、どの時代も変化しますから必ずついていけない時がやってきます。「老害国家に未来なし」とか言ってる20代30代も等しく老います。今までは半世紀ぐらいかけて変化したことも、これからは10年程度で激変しますね。

以前もメモしてますが、例えば「人口が5万7500人を下回ると結婚式場がダメ、3万2500人を下回るとペットがダメ、1万7500人でカラオケや税理士撤退、9500人で紳士服小売がダメ、6500人を下回ると銀行や通所介護事業所がダメ、2000人以下だと喫茶店もアウト」なんて数値が色々と書かれているわけですが、もはや銀行店舗は論外ですし、そんな場所は介護を受ける前に人が消える方が早そうです。そういう時代に高齢者がウヨウヨしちやうなんて…私のことです。えらいこっちゃ。

ちなみにその頃になると、なんとなく完成形のAIが登場する頃でコンピューターが人類を超えるそうです。私は土に還る頃ですが、現役世代は人間的生きがいを感じる仕事を掴むのに苦労していそうです。

〜・〜

ネットのお陰で未来が予見できちゃう恐ろしさを感じる1冊です。

時々北朝鮮の飢餓映像を見て「生まれる場所は選べないからなぁ。生まれた場所が違えば人生も違うよなぁ」なんて思うわけですが、それがこれから日本国内のあちらこちらでも起こるとなれば、皆で助け合って…とはならんでしょうなぁ。やっぱりアレですかね。「情報はいくらでもあった。何もしなかったお前が悪い。」みたいな。

まもなく地方民が、そしていずれは首都圏民が右往左往します。東京は人口が減ったところで腐っても東京だと思いますが、震災でも起こったらそれどころじゃなくなるでしょうね。

この本の551ページにとても参考になる一節がありました。

「人口が多少減ろうとも、世界の中で「なくてはならない存在」を目指した方が、豊かさは維持しやすい。」

つまり、そういう場所を探し、そこでそれを育て、そこに根ざして生きなさいということです。まぁ簡単なようで難しいことですが大きなヒントだと思います。京都のように地の利だけで生きてきた場所でも人口減少は避けられませんからある意味ワンチャンな自治体が生まれてもおかしくないと言えます。オススメの一冊です。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること – en1

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