売り手も借り手も付かない中古物件を見てきたメモ

人口減少
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昨年から気になる物件を時折見て回っておりますが、先月見た中古物件から感じた現実をメモしてみようと思います。とは言っても首都圏や都会の話ではなく田舎にひっこんだポンコツ視点です。ちなみに買いたくて仕方ないわけではなく、手頃なものであれば買ってもいいかなレベルです。

さすがにこの手の三面記事も増え始め、地方の不動産は無価値に等しい場所だらけになることが予想される内容を目にしますが私が歩いてもその通りだろうと思います。

首都圏も不動産バブル終了の足音が聞こえはじめたらしいのですが真実は分かりません。ただ言えることは昔と違い情報伝搬スピードが速いですからひとつ間違えるとちょっとしたきっかけで予想外の動きも起こり得る時代だと思います。

タダでも売れない不動産が増加 住宅ジャーナリストが警鐘 – ライブドアニュース

一説には過去のバブル崩壊時パターンと似ているらしいですが、バブル崩壊後の社会参加組としては実感のないネタです。こういう情報を探すと必ず見る文字が「お金は要らないからタダで引き取ってくれ」ですがこれもその通りだと思います。いろんな意味で今回見た物件にはちょっと考えさせられました。

大和ハウスさんの土地活用ラボによると1998年と2013年を比較した年齢別に見る持ち家比率が掲載されておりこの時点で39歳以下の志向が56.6%から46.1%に減っていることが書かれていました。今は2018年ですからその世代は44歳以下に置き換えられます。同じデータで80%近い持ち家率は55歳以降でして、これは現在の還暦ぐらいの年齢となります。ちなみに詳しいことは政府統計でも見られ2013年の日本の空き家の数は約820万戸だそうです。

大和ハウス工業|土地活用|ここ30年で50代以下での持ち家比率が大きく低下!伸びる賃貸住宅需要

実は今回見た物件の持ち主は還暦前後の世代に相当し、先の統計データから見れば土地神話時代を生きた方です。どの時代でも世代間差はありますがこのグラフと物件から感じたことは今60歳以降の売り手常識に呼応できる多勢は50代だけでしょうね。多勢とは言っても全体で見れば無勢です。

しかし売主の気持ちも理解できます。流行りの言い方ですと「6030問題」みたいなことです。そういう子や孫のことを考えると安く手放したくない気持ちも理解できますが… それが仇になるかもれません。

 

還暦世代でモノ消費しかできない人の感覚は理解できない

拝見した物件は駅近ではない築40年で将来間違いなく無価値になる物件だと思いますが、驚いたのはその中身。あと少し奮発すれば地方都市では新築が買える金額ほどの売値なので中身は多少使い道があるのかと思いきやボロボロ。しかもモノが多い!写真を載せたいところですが止めときます。

「これをゴミ屋敷と言わずして…」というぐらいモノが溢れており、家が傾くんじゃないかという勢い。さすがにこの値段で買い手は付かないという代物でした。大事に使われていたら希望価格も有り得たでしょうがちょっと酷かったので原因を探りながらメモしております。ちなみに買うとなればスケルトンにしてもらうのが一般的ですが、仮にこの私物を私が処分することも妄想しておりました。

しかし家財道具の山を眺めて直感的に感じたことは、昨今スピーカーGoProネタでメモした内容にも繋がることですが魅力を感じる置き土産がゼロです。最近ポツポツと「ヤフオクやメルカリで売れない」記事も増えておりますが、甘目に見て90年以降の量産製品に魅力は少ないわけです。そういう昭和型の物質的豊かさに一切魅力を感じません。社会全体がストレスなく使い捨てを容認し始めた頃だと思います。おそらく地方といってもあれだけの家財処分となれば最低でも50万は必要な気がします。

そんなこんなで帰宅後に色々と調べたわけですが、私のような世代でも「面白そうに感じる要素があれば手を出してもいいかなぁ」と思いはしますが、売り手の強欲が勝るので絶対にクロスしないタイミングが今だと思います。こればっかりは慌てて買うようなものではなく、未来を知れば知るほど要らないゴミ。

 

個人的には不動産売却はここ1-2年が勝負と感じる

しかし今回見た物件に似たものが日本中にゴロゴロしていると思います。そこには家族があり誰かが相続するはずですが、相続放棄以外に処分手段がなくなるまでのリミットはこの先どんなに長くても10年、短ければ1-2と妄想しますが、10年後の社会は完全に高齢化しており今の社会通念での売却は不可能でしょうね。特に地方は大変だと思います。15年後は3軒に1軒が空き家の時代。更に不動産バブル崩壊なんてキーワードが飛び交うと余計に購買意欲が下がりますよね。

昭和時代のおいしい経験が「売りたいけど値段が安すぎ」と思わせて売却を躊躇されるようですが、時期を延ばすほど価格は下がり続けますよね。現時点で70歳前後の売るに売れない記事は山ほどありますから今回拝見したような60歳前後で地方で強欲を続けると後始末が大変だと思います。明治大正時代の常識が通用しないのと同様に昭和平成時代の常識も変わります。

今から15年後と言えば団塊Jrが還暦を迎える頃。今でこそ冒頭の「手頃なものであれば買ってもいいかなレベル」ですが15年後は激変。年齢が下がるほど買えるようなお金を貰っていない世代が増えますし買う理由も希薄。そういう社会構造を変えた世代が最後まで欲の皮が突っ張ったことを続けても買い手が付かないのは当然なんですが…。

売り手が生活に不自由がないのであれば買い手と折り合い話つけて手放した方がよい最後のタイミングかもしれませんね。今の売買手法が通用するのは…来年までじゃないですかね。

 

家が余っているのに値段はまだ高い

そこに追い打ちをかけるかのようにスルガ銀行のようなシェアハウスという流行りのマジックワードで借金したりさせたりすることが表面化しつつ、相変わらず首都圏の提灯記事から察するに「まぁこの感じだと弾けて不良債権化するまで待ってもいいかな。どーせなきゃないで構わないことだし」なんて思います。だから余計に買わないし売れない。

家賃以外も含めて比べないと…

やはり人口減少の破壊力は凄いですね。インバウンドで国内消費を補えても家は空いたまま。久しぶりにインパクトのある物件を拝見して考えさせられました。何かのご縁があれば再検討するやもしれませんが今時土地価格や相場はネットで簡単に調べられる時代。ちょっと難しい感じです。それらを無視した値付けを還暦過ぎの年齢で展開しているわけで先が思いやられます。

あらゆるボタンが掛け違いを起こしている時期なんですかね。なんと申しましょうか…そういうものに価値はないと理解できる生産性の高い世代が変化の過渡期に雨露をしのぐのに必死で、生産性が下がる世代が武勇伝で乗り切ろうとしてる感じでしょうか。昔のNTT電話加入権みたいなもんでしょうね。私の記憶は7万円です。今は実質取引1,500-2,000円だそうです。

 

1世紀も過ぎれば価値は変わって当然

私も知らなかったのですが明治30年に15円からスタートし昭和51年に8万円だったらしいです。私の記憶は昭和60年の72,000円だと思います。それが平成17年に37,800円になったとか。スタートしてから121年経つと電話網は完成し、固定電話の概念や価値は変化した後でもまだやっているみたいです。しかしこれが「固定資産」と議論される時代もあり土地神話に通ずるような…。

追記メモ  NTT東日本と西日本は、法律で義務づけられた固定電話網の維持のため、両社で毎年約800億円の赤字を出している。この赤字を埋める足しにするため、固定電話や携帯電話の利用者は1番号あたり月2円を負担している。(2018.7.6 朝日新聞)

私が死ぬ頃は不動産価値も激変し「買うなら最低でも100坪」なんて時代ですかね。

ということで要らない不動産は売りたいと思った時に即行動し、超まめに値段調整し、場合によってはタダみたいな額に感じたとしても1-2年で手放さないと末代まで苦労すると感じたメモでした。

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