「ものづくり白書」間違い探しをしている間に変化してしまう時代

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ひところ製造業の動画などもホイホイ作っていた時期があって、経産省のものづくり白書の更新メールが届いたので一通り目を通して見たのですが経産省の努力も虚しく感じ、今ひとつピンとこない今更感が消化できず自己整理メモです。

ひとことで言うとものづくりの話しではない

現場のことを知るとよく分かるのですが製造業にはそうそう簡単に変われない職人技というのがあって、何十年もかけて磨いた技で素晴らしいことなんだけと、それが法人では成り立たない点に苦労していることは少なくとも10年前から言われていました。

(まだ中国と価格勝負なんて言ってる頃)

それは着物、扇子、提灯みたいな職人仕事を見れば分かる通り、技術としては凄いけど需要がないので法人としては成り立たないけど、それを見捨てると日本文化が消えてしまうものもあり個人として細々と続けてこられた様子そのものです。

ただ日本は人口が多かったり、80-90年代からの文化要素が乏しい大量生産消費の波に乗ったりして「よいものを作れば売れる」という思考になってしまい、このネジがなかなか外せないまま今に至った感じがします。

(なにせ「良いものを作っても売れない」わけですから)

本格的な技術的特異点はまだ先ですがデジタル技術の陳腐化はその到達を早めているわけでどんなに頑張っても地球規模で捉え続ける商売でないかぎり量産も虚しい時代です。

 

大切なことは目に見えない

昭和風に言えば「1家に1台リビングに憧れのテレビ」ですかね。

目に見える家電製品だと具体的な未来像を描けるのにデジタルになった瞬間ちんぷんかんぷんとなります。たぶん今の若い人から見るとウソのようなホントの感覚。そういう古臭いものが「ものづくり白書」全体から伝わってくる時代錯誤感。

どうしてもモノがスタート地点になる思考になってしまい、その呪縛から抜け出せていない危機感というのは伝わってきますが、既にモノという概念が消えつつある時代でこの文章から察するに危機的状況であることは想像できます。

タイトルを変えればよい話しではありませんが、もはや「ものづくり白書」ではなく「産業白書」でないとピンときませんよね。というか、インターネット白書の中のごく一部にすぎないことです。でも「ものづくり白書」と書かないと理解できない経営者がいたとしたらアウト。

「本当に大切なものは、カタチの中に宿る目に見えない何か?」を穴があくほど見続けて探す苦労たるや、ものづくりの話しではなく社会人全員にあらゆる面で求められる時代です。

 

経営者の対応が真に問われるギリギリ感

最近のものづくり現場事情は知りませんが白書には「ヒトはより付加価値の高い仕事にシフト」して作業はロボット、AI、IoTに任せろと書いてあり、ものづくり以外の産業では当たり前のことですよね。

更にデジタル人材の育成とは書かれているものの、すでに「モノ」ではなく「添えモノ」ぐらいにしか捉えていないのでデジタル化の意味が理解できてる人だったら誰でもよくってアドバイスできる人は増えてるはずなのに足りてない感満載の文章はやっぱりモノから考えちゃうからでしょうね。

まあ「誰でもいい」というのは乱暴ですが、少なくともデジタルネイティブ視点であれば切り分けはあっさり出来てしまい、つきつめると「どれも時代に合ってない」となりはしますが、合ってないツボすらも理解できない感覚もよくわかります。

もはや対前年比なんて言葉すら死語の時代で非連続性とか言ってるわけですが、この追い詰められた状況でコテコテ製造業だとしたら出来ることは皆無が伝わってくる資料でした。

薄っすらとした関わりしかなかった業界とはいうものの、誰かさんではないですが選択と集中による淘汰なんですが、厄介なのは自然淘汰ではなく強制淘汰しないと全体の歯車が狂うぐらい変化が早いこと。

「ものづくり国家・日本の再生はありえない!」 孫正義氏が語る、これからの日本が唯一勝てる場所

いまから8年前のことですが私もこの動画に衝撃を受けたのを覚えています。いま見ても鋭いと感じますが極めて端的に結論をまとめておられます。

「日本がものづくり国家として競争力を取り戻す時代は、もう来ない」。工業生産は賃金の安い国が圧倒的に有利。これからの日本は“頭”で勝負するしかない。そんな日本の最後のチャンスが「モバイルインターネット」。

孫社長の千里眼は横に置き8年前にサインは送られており、これをどう受け止めるかで勝敗は決まっていたようなもので、言われた通り行動すれば生き残るし、考えなかったら消える。

まあ孫社長は先頭で変化しまくるので後塵を自由自在に翻弄できるトップランナーとも言えますが、同時期のものづくり白書を見ると「高度な部材・製品の供給基地としての競争力を維持・強化し」とか書いてますから8年前の時点で読み違えた感満載です。

孫さんの言葉で衝撃を受けた当時のものづくり白書を斜め読みしたかぎりネット関連は「2009年1月に「雇用創出企業1,400社」として公表し、全国の学校、ハローワーク、ジョブカフェなどの機関に配布するとともに、ホームページ上でも紹介した」だけ。

(政府は100%世界を読み違えている印象)

よく「100年に一度の大改革」とか言われてますが、孫社長だと「100日に一度の大改革」みたいなノリなので、そのとんでもない早さに製造業が対応すること自体に無理があるような気がします。少なくとも1年で変化してしまう時代に生きていることは間違いないですよね。

 

今は止まったら死ぬゴールなきマラソン時代

モバイルインターネットとか言いながら、そんなことはとっくの昔に過ぎ去りAIとかブロックチェーンと言いいつ、そろそろ宇宙とか言い始めてる時期にモノというカタチに固執した発想が抜けないと経営者として辛いだろうと思います。心中お察しします。

この動画を見ても金型、ネジ、量産という発想が抜けないのかな。

クラウドファンディングでもICOでも集金段階で設計終了し、集金中も改良し、集金完了と同時に少量生産し、それを非連続性で繰り返しても残れない時代というのに。

勝手に言うのは簡単ですが実際は難しいですよね。なにせ3年前に下町ロケットで「夢にまっすぐ」とか言ってたことが3年後の今見ると大昔のドラマに感じるぐらいですから。

ふとアフリカのサバンナを走るヌーを思い出しました。なぜか先頭のシマウマを追いかけ、みんなが走り出したら一緒に走り出し…でも生き延びたかったらリスクを取って川を渡って…みたいな。

今は時代を読み違えたら最後です。田舎生活でもテクノロジーの恩恵を受ける側としての変化は察知して消化するリハビリは欠かせないです。

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