ただのエッセイ本ではない「日本のこころ」

ありがたい一冊
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間もなく「おしん」が帰ってきます。このコピーだけで涙腺が緩む方は少なくないことだと思います。『日本は、この涙で強くなった。生きる力の物語。』平成の世に僅か存在する日本の原風景描写を楽しみにしている今日この頃です。

さてと…

日頃から「島」に興味を持っております。地図を見ながら淡路島や半島の突端を眺めていると、この国は地震で揺れるのが当たり前だと感じるのです。そして数々の心を打つ映画を観るたびに、そのロケ地に島が多いこと。

(時代を感じさせる場所は減る一方)

テレビ番組に「懐かしのメロディ」といった類いの番組がありますが、自分が還暦の頃に80年代のポップスを懐かしんでいるんだろうか?と考えていました。何かが足りないと考えて辿り着いた答えが情緒。

昔の歌は情緒を具体的に想像できるのですが現代生活には情緒を感じるシーンが無い?今年の秋にトンボが飛ぶ姿をみずに冬を迎える人も多いのではないかな?と思います。

この「情緒」が大切ではないかな?と思って最近読みあさっている本が岡潔です。

この方が数学者として世界の歴史に名を刻む有名人ということはよく知られた話しですが、この頃の学者というのは1つの学問を究めているたげでなく、物事の広い分野に精通しているというのが人間として興味深い。

岡潔の友人が中谷宇吉郎であり、その師は地震の話で必ず思い出される寺田寅彦。岡潔の生徒には湯川秀樹という錚々たる面々。そのつながりだけで興味が湧いてきます。

岡潔は宗教、文学、自然、教育といった分野にも鋭い洞察を残されており「数学は情緒」というからチンプンカンプンになるというものですが、目には見えないものを自分なりに理解し、何かを掴もうと苦労されている方にとっては目からウロコの表現ではないかと思います。

別の本にはこんな一節も。

三歳児中の問題児の比率の非常に大きいのが大変心配である。こんな風だと六十年後には日本に厳冬が来るだろうから、それに備えて教育は松柏(しょうはく)のような人物を育てることに勉めてほしい。能力テストはやめてほしい。」

この不安は大当たり。日本は予想通り厳冬です。

片っ端から読みあさっていますがどれもおすすめできる本。秋の夜長、濁った心に潤いを与えるお薦めの一冊です。

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