二つの祖国で -日系陸軍情報部-

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先日父親に「この辺りは日本で最初の移民を出してるとこらしいねー」と言うと「それだけ仕事がない場所じゃったんやろ」という回答。思わず「それじゃ今も仕事がない時代じゃし、そろそろ移民のタイミングかもね」という冗談を飛ばしておりました。新幹線の座席越しに見える週刊誌の「移住した日本の若者たち」というタイトルがタイムリーです。

自分の通った幼稚園が列車の窓から見え、なんとなくiPhoneで検索していると、私の育った場所は戦前から「移民村」と呼ばれる場所で、2世帯に1つが海外へ出た…その末裔がハワイやアメリカで歴史をつないでいるのかと思うと感慨深いものがあるな、とかおもう今日この頃です。

さてと…

この内容にふれる時、どうしても感情移入してしまうのが容姿による先入観。

皆一様に日本人の面持ちであり、なんとなく日本的雰囲気を持っています。DNAがそうなんだから当たり前の話です。

しかし中身は完璧なるアメリカ人。日本全土を空襲で焼尽し、沖縄で暴れ、2つの原子爆弾を落とした国の人です。

だからややこしい。

なかなか深い内容です…

しかし、心の奥底では日本人DNAがアメリカのルールと葛藤し、涙を流したことは数えきれないことでしょう。アメリカは常に白か黒。玉虫色の回答は無い。

442部隊にしろMISにしろ、日本人の特筆すべきキャラクターが冴えています。

兄弟を空中戦で撃ち落としたインタビューは「事実は小説より奇なり」。

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別の番組では442部隊について「はずかしがり屋、礼儀正しく清潔。前線では全力を尽くす。命令につべこべ言わず速やかに従う。前線での顕著な特徴としてZero Hour。突撃となると全員立ち上がって突進する。更に傷ついた仲間を置き去りにしない。」と言われていました。なんとなく分かる気がします。

更に別の書籍では「突破するために人柱となる戦術が顕著」とも。

ざっくりと言えば、第二次世界大戦は日本人同士の戦といっても過言ではないのだ思います。

表舞台では442部隊が血を流し、裏舞台ではMISが動き….それこそ「仕方がない」というしかなかった時代なんでしょう。

インタビューに答えている方々も既にご高齢。戦争体験者がご存命のうちから離島で一触即発などというきな臭い、情けない、不毛ないさかいは止めたいものです。

映画の中で印象的だったのは、日本兵捕虜の行動。

戦陣君「生きて虜囚の辱を受けず」で自害できた者は別とし、捕虜になった時の対応を学んでいなかった日本人はタバコを一服させるとペラペラ喋ったそうで情報が筒抜け。仕事ではあっても同郷相手の懐に入り込み、情報を抜き出し、戦果を得た強者の集まりです。

一枚も二枚も上手の経験者。同じDNAですが、アメリカンです。

「MISが日本の復興に寄与した」という単純なオチでは腑に落ちない。この腑に落ちない感覚を持っているかどうかが大切なポイントだとも感じます。とてもお薦めしたい映画です。しかし…よくもこれだけのフィルムをインタビューに合わせてインサートできたものだと感心します。

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